「働きたいけど不安…」そんなあなたへ ― 就労移行支援でできること
― 自分に合った働き方を選ぶための新しい支援 ―
今年10月1日より、障害福祉サービスの新たな仕組みとして「就労選択支援」
が始まりました。
まだあまり知られていない制度ではありますが、今後の就労支援において重要な役割を担う支援として注目されています。
今回は、この就労選択支援がどのような制度なのか、そして現場の視点から見た意義についてお伝えします。
就労選択支援が創設された背景
これまでの就労支援では、
「一般就労を目指すのか」
「就労移行支援や就労継続支援を利用するのか」
といった進路選択を、十分な情報や体験がないまま決めざるを得ない場面も少なくありませんでした。
その結果、
・自分に合っていないと感じて途中で利用をやめてしまう
・思っていた支援内容と違い、再度選び直すことになる
といったミスマッチが生じるケースも見られました。
こうした課題を踏まえ、本人が納得感をもって進路を選べるようにすることを目的として創設されたのが、就労選択支援です。
就労選択支援で行うこと
就労選択支援は、就職に向けた訓練を行う支援ではありません。
「自分にはどのような働き方が合っているのか」「どの支援サービスが適しているのか」を整理するための支援です。
具体的には、
・就労アセスメントの手法を活用した評価
・本人の希望や価値観の整理
・得意なこと、苦手なこと、体調や生活面の確認
・就労移行支援や就労継続支援など、各サービスの特徴の理解
といったプロセスを通じて、将来の選択肢を一緒に検討していきます。
「今すぐ働く」ことを目標にするのではなく、
どの道を選ぶことが、自分らしく働き続けることにつながるのかを考える時間と言えるでしょう。
就労移行支援との違い
就労移行支援は、一般企業への就職を目指し、訓練や実習、就職活動を行う支援です。
一方、就労選択支援は、その前段階に位置づけられています。
・どの支援を利用すればよいか分からない
・まずは自分の状態を整理したい
・焦らず、納得して進路を決めたい
こうした思いを持つ方にとって、就労選択支援は非常に有効な支援となります。
現場から見た就労選択支援の意義
支援の現場では、「もう少し早く整理できていれば」と感じる場面に出会うことがあります。
就労選択支援は、そうしたミスマッチを防ぎ、遠回りに見えて、結果的には近道となる支援だと感じています。
進路を選ぶことは、人生を選ぶことでもあります。
だからこそ、「決める前に考える」「比べてから選ぶ」ための仕組みが整ったことは、大きな意味を持ちます。
まとめ
「働く」という選択は、人生の大切な節目です。
就労選択支援は、目標を決める前に自分自身を理解し、希望や特性を整理するための時間を提供することで、より安心して次のステップへ進むための支援制度です。
これから就労を考える方にとっても、ご家族や支援者にとっても、
納得感のある選択につながる重要な仕組みになるでしょう。



