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障害者雇用を進める企業へのアドバイス ~継続可能な雇用のために~

寺山哲平

寺山哲平

テーマ:障害者雇用、障害者福祉、就労支援

障害者雇用促進法のもと、多くの企業が障害者の雇用に取り組んでいます。しかし、現場では「どのような仕事を任せればよいのか」「受け入れ態勢はどう整えるべきか」「社内の理解をどう得るか」といった課題も多く聞かれます。

障害者雇用を成功させるために重要なのは、法定雇用率を「満たす」ことよりも、障害のある方が「安心して長く働ける職場をつくる」ことです。単なる数値の達成にとどまらず、継続的・安定的な雇用につなげるために、企業にとって重要な視点をいくつかご紹介します。


働く女性


1.業務の切り出しと「できる仕事」の設計



障害のある方に仕事を任せる際、つい「配慮しすぎて任せられない」あるいは「他の社員と同じ業務を求めてしまう」といった両極端になりがちです。実際には、業務内容を細分化・整理し、その人の特性やスキルに合った「できること」から任せる設計が重要です。

たとえば、事務職において「データ入力は得意だが電話応対は難しい」方には、入力作業を中心とした業務設計を行い、コミュニケーションの負荷を調整することで、ストレスなく力を発揮できます。これは「業務の切り出し」と呼ばれる方法で、多くの企業で成果が出ています。

また、「この仕事ができるようになったら、次はこれ」というように、ステップアップを意識した配置もモチベーション向上につながります。

2.受け入れ体制と社内文化の整備



障害者本人が働きやすい環境を整えることはもちろん重要ですが、同時に「受け入れる職場側」の体制づくりも鍵を握ります。

特別な制度や費用をかけなくても、日々のちょっとした配慮
例えば、「声かけの仕方」「急な変更が苦手な方へのスケジュール提示」「静かな作業場所の確保」など が、定着率に大きく影響します。

また、「特別扱いではなく、個別対応」であるという考え方を、職場全体に浸透させることも大切です。そのためには、受け入れ前後に社内研修やオリエンテーションを行い、職場全体の理解を深めることが有効です。

◆ 合理的配慮の具体例

合理的配慮とは、障害のある方が職場で不利にならないようにするための「現実的で過度でない調整」のことを指します。以下は実際によくある配慮の例です

精神障害のある方への配慮:急な指示では混乱を招くため、業務内容を文書やToDoリストで明示し、優先順位をわかりやすく提示する。

知的障害のある方への配慮:業務手順をマニュアル化し、視覚的に理解しやすいようイラスト付きの手順書を用意する。

発達障害のある方への配慮:周囲の雑音が気になる方には、イヤーマフの使用や静かな作業場所を用意する。

身体障害のある方への配慮:車椅子利用者が通行しやすいよう、動線の確保や机・設備の配置を工夫する。

聴覚障害のある方への配慮:口頭での説明に加えて筆談やチャットツールを活用し、情報伝達の漏れを防ぐ。

これらは一例ですが、「その人にとって働きやすい環境とは何か」を対話を通じて確認し、できる範囲で調整していく姿勢が重要です。

3.外部支援機関との継続的な連携


障害者雇用を企業だけで完結させる必要はありません。むしろ、外部支援機関と連携することで、採用から職場定着までを無理なく、そして効果的に進めることができます。

たとえば、就労移行支援事業所では、実際に職場で働くことを見据えた訓練や職場実習を通じて、企業に適した人材を育成しています。採用時にマッチングを相談できるほか、就職後も「定着支援」という形で継続的に支援が受けられます。

また、地域障害者職業センターやハローワークも、障害者雇用のノウハウや助成金情報の提供、職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣など、多岐にわたる支援を行っています。企業がこうした支援機関とつながっておくことで、雇用の安定性が格段に高まります。

まとめ:障害者雇用は「人との出会い」で成長する



障害者雇用は、制度や義務で進めるだけでは限界があります。実際に出会い、ともに働く中でこそ、企業も、社員も、障害のある本人も、それぞれの理解が深まり、成長していきます。

誰かにとって「働ける場」をつくることは、結果として、職場全体の多様性や柔軟性を育むことにもつながります。企業にとって障害者雇用は「社会的責任」ではなく、「組織としての進化のチャンス」でもあるのです。
障害者雇用にお困りの企業様はご相談ください。

▼ご相談はこちら
株式会社muutos
就労移行支援事業所CHIMED横川
https://muutos-p.com/chimed/

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寺山哲平
専門家

寺山哲平(就労移行支援)

株式会社muutos

自己理解とスキルアップを図るプログラムで一人一人の強みを見つけ出し、さまざまな分野の地域企業とマッチング。障害者の就労とキャリア形成を実現するとともに、企業の障害者雇用も支援。

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