これからの時間のために家と物を見つめ直す
前出のブログでは、
空間に名前をつけるという設計の考え方|ネーミング
についてお話ししました。
居間や書斎という一般的な名前ではなく、自分たちで名前をつけることで、空間の時間や質を意識し、暮らしに意味を持たせることができる、という話です。
今回はその続きとして、名前だけでなく、自分たちの体験や暮らしの記憶を起点に空間を考える大切さをお伝えします。
旅に出て新しいものに触れるワクワク感のように、体験は想像力を刺激し、創造の基点になります。
体験を基点に、それを超える
空間や暮らしを考えるとき
過去に見てきた建築や日常の小さな体験は、創造の土台になります。
古い家の広い土間
庭で遊んだ記憶
旅先で出会ったちょっとした仕掛け
こうした体験があるからこそ、私たちは空間を想像できます。
けれど、体験はあくまで出発点であり、そこに縛られる必要はありません。
過去の常識や標準的な間取り、設計例は参考になりますが、それに従う必要はないのです。
大切なのは、体験を基点に自由に想像を広げること。
日常とは違う体験は、創造の源になります。
空間は名前や形式だけで決まりません。
体験を基点にしつつ、それを超えてまだ見ぬ暮らし方や使い方を生み出すことで、初めて自分たちにふさわしい特別な場所が生まれます。
玄関の実例から学ぶ自由な空間設計
玄関は、多くの人が「靴を脱ぐ場所」と考えがちですが
昔の日本の家ではもっと自由で、多目的に使われていました。
農家や町家では、広い土間に直接入り、作業場や台所とつながり、荷物置きや休憩、家族や近所との交流の場としても使われていました。
現代の住宅やマンションでは段差の少ない狭い玄関が標準ですが、暮らしの体験を出発点にすれば、玄関の広さや使い方は自由です。
ベンチに座って外を眺める場所
自転車や荷物を置く場所
お茶を楽しむ場所
私が設計した家では、2階で生活を完結されているため
玄関と階段の広さを十分に確保することができました。
標準的な1坪から2坪にとらわれず
生活への思いを体験を反映させることで多目的に使える玄関を実現。
介護や車いすが必要になった場合も、車いすの置き場所や要介助者が座って移動できる場所を設計に取り入れています。
図面の段階から生活体験を反映させることで、玄関は名前や標準的な体験に縛られず、体験を超えて考えることで豊かになり、家全体の暮らし方にも影響します。
まとめ
名前をつけることも楽しみのひとつですが、体験を超えて空間を考えることで、本当の自由が生まれます。
過去や慣習に縛られず
見てきたものや体験に縛られず
自由に想像を広げることで
空間は自分たちの暮らしにふさわしい特別な場所になります。
旅で新しいものに触れる楽しみや 日常の中での小さな体験を重ねることで
空間は単なる部屋ではなく、暮らしを豊かにする舞台になっていきます。



