50代女性の空間をととのえる事例~3人の決断
人生には、静かな転換点があります
それは、年齢によって訪れるものではなく、
自分の内側に生まれる、小さな意志によって始まります。
ここではないどこかへ行きたい。
新しいことを始めたい。
これからの時間を、もっと自分の感覚に近い場所で過ごしたい。
その感覚は、はっきりとした理由を持たないこともあります。
けれど確かに、これまでとは違う場所へ向かう流れが、
自分の中に生まれています。
近年では、それをライフシフトと呼ぶようになりました。
かつてはセカンドライフという言葉が使われていましたが、
それは人生の後半という時間の区切りを表すものでした。
ライフシフトは少し違います。
それは残りの人生ではなく、
これからの人生を、自分の意志で選び直すことです。
人は、場所によって静かに形づくられています
住む場所が変わると、光が変わります。
窓から見える風景が変わります。
風の通り方が変わり、空気の重さが変わります。
それだけで、時間の流れ方は変わっていきます。
家は、単なる器ではありません。
そこにいる自分自身を、
日々、少しずつ形づくっていく存在です。
どこに身を置くのか。
それは、どのように生きていくのかという問いと、
深く結びついています。
場所は、人を支えます
慣れ親しんだ家。
見慣れた風景。
積み重なった時間。
それらは、安心を与えてくれます。
けれど同時に、人を留めることもあります。
変わりたいと思いながら、
どこかで動けずにいるとき。
それは、自分の意志ではなく、
場所の持つ力の中にとどまっているのかもしれません。
場所に支えられているのか。
それとも、場所に支配されているのか。
その違いは、言葉になる前の感覚として現れます。
もし、今いる場所が、
これからの自分に合わなくなっていると感じたなら、
そこを離れることもまた、自然な流れの一つです。
違う場所に行くこと。
新しい拠点を持つこと。
それは、何かを失うことではなく、
自分の意志で生きる場所を選び直すことです。
人生の重心は、時間とともに静かに移動していきます
子どもが独立したあと。
働き方が変わったとき。
役割が変わり、自分のための時間が戻ってきたとき。
それまでの場所が、少しずつ今の自分に合わなくなっていくことがあります。
広さの問題ではありません。
機能の問題でもありません。
そこに流れている時間が、
これからの自分の時間と、合わなくなっていくのです。
新しい人生には、ふさわしい場所が必要になります
それは新しく建てることかもしれません。
あるいは、今ある場所を整えることかもしれません。
あるいは、まったく違う土地へ移ることかもしれません。
場所が変わることで、
人は少しずつ、本来の自分の感覚を取り戻していきます。
これからの人生で、何を大切にして生きていきたいのか。
静かな時間。
思考する余白。
自然の近くで過ごす日常。
何かを生み出す場所。
その思いは、人それぞれです。
けれど、どの思いにも共通しているのは、
それを受け止める場所が必要だということです。
場所は、人生の背景ではありません。
人生そのものを支える、基盤です。
私自身もまた、人生の折り返しの時期を生きています
同世代の人たちと話していると、
これからどこで、どのように生きていくのかという問いが、
自然に現れてきます。
住む場所を変えたいと感じる人。
新しい拠点を持ちたいと考える人。
これからの時間にふさわしい環境を探している人。
その問いは、特別なものではなく、
誰の中にも静かに存在しているものだと思います。
そしてその問いは、
場所と深く結びついています。
場所が変わると、
見えるものが変わります。
見えるものが変わると、
選ぶものが変わります。
選ぶものが変わると、
人生は静かに動き始めます。
ライフシフトとは、
新しい人生を始めることではなく、
本来の自分の場所に戻っていくことなのかもしれません。
その場所は、
遠くにあるとは限りません。
けれど、それはきっと、
これからの自分にふさわしい場所です。




