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木造住宅・リノベーションで後悔しない床材選び

テーマ:広島家づくり

木しかなかった時代


かつて日本の住まいは、ほとんどが木でできていました。
構造も、床も、建具も、家具も。

それは「木が好きだから」というより、
そこに木があったからです。

山があり、森があり、地域ごとに木を伐り、乾かし、家を建てる。
素材は選択肢ではなく、暮らしの延長線上にあるものでした。

触れればあたたかく、湿度を調え、時とともに色が深まる。
木は、視覚だけでなく五感のなかで生きていました。


近代化と“薄くなる木”


やがて高度経済成長期を迎え、住宅は大量供給の時代へと移ります。

無垢材の床は、突板フローリングへ。
薄くスライスした木を合板に貼ることで、見た目は木のまま、
コストと施工性は合理化されました。

さらに時代が進むと、
木目を印刷したシートフローリングが主流になります。

本物の木ではない。
けれど、木目は残っている。

ここに、ひとつの問いがあります。

なぜ“木目”をやめないのか


もし合理性だけを求めるなら、
単色の建材でも成立するはずです。

それでも私たちは、木目を選び続けている。

その理由は、
無意識のうちに木の質感を求めているからではないでしょうか。

日本の住空間の記憶の奥には、
柱や梁、畳や縁側、木の床の感触が残っています。

木目は、その記憶に触れるための“安心装置”。

新しい素材であっても、
木の表情をまとわせることで、空間はどこか落ち着きを帯びる。

木目プリントは単なる模倣ではなく、
感覚の連続性を保つためのデザインとも言えます。

触感という価値


ただ、ここで考えたいのは「触れる」ということです。

視覚は再現できても、
触感や経年変化までは再現できない。

私が実家をリノベーションした際、
15ミリ厚のウォールナットの無垢フローリングをDIYで施工しました。

昭和43年頃に建てられた床は突板フローリング。
50年以上の時間で表面は剥がれ、補修が難しい状態です。

一方、無垢材は傷も味になる。
削れば再生でき、時間とともに深まっていく。

素材は、見た目だけでなく、
身体の記憶として残るかどうかが大きな違いです。

“なんちゃって”かどうかではなく


木目プリントは悪なのでしょうか。
私はそうは思いません。

価格を抑え、安定した品質で住宅を供給する。
それは現代の住まいにおいて大切な価値です。

ただし――

私たちが何を選んでいるのかを、
理解しているかどうかは重要です。

・視覚的な安心感を選ぶのか
・触感と経年変化を選ぶのか
・初期コストを優先するのか
・時間とともに育つ素材を選ぶのか

住まいは、素材の集積であり、
同時に「時間の設計」でもあります。

広島で木造住宅を検討されている方へ



瀬戸内の穏やかな光と、季節の風が通り抜ける広島。
無垢の床板の感触を足裏に感じながら暮らす木造住宅は、
この土地の気候と静かに調和します。

昔は、木しかなかった。
今は、木を選ぶことができる。

選べる時代だからこそ、
本物か模倣かという単純な二択ではなく、
その素材がどんな時間を生むのかを考えたい。

レフトハンズでは、
木を単なる仕上げ材としてではなく、
構造・触感・経年変化まで含めた素材として捉えています。

木目プリントが“なんちゃって”かどうかよりも、
あなたの暮らしに、どんな時間を残したいのか。

そこから設計は始まります。

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ねぎもとあやこ
専門家

ねぎもとあやこ(一級建築士)

建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所

木造住宅や古民家再生の経験を生かし、環境や多様な暮らし方にあう計画を提案。日本の自然環境にある木材を生かし、構造・意匠・素材の木のリズムでととのえ、安心感と温もりに満ちた住空間を実現します。

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