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「木の家」とはどこまで木なのか?木造住宅のリアル

テーマ:広島家づくり


「木の家」という言葉のイメージ

「木の家」と聞くと、多くの人はあたたかくて心地よい空間を思い浮かべます。
木造住宅を建てたい人や、マンションを木でリノベーションしたい人にとって、
この言葉はとても魅力的です。

一方で、食べ物の世界では、原材料や産地にとても細かい基準があります。
なぜなら、それは体に直接影響するからです。
では建築の世界ではどうでしょうか。
「木の家」という言葉には、同じような具体性があるのでしょうか。

設計事務所として木の建築に関わり続けるなかで、私はふと考えることがあります。
自分がこれまでつくってきた建築は、本当に「木の家」と呼べるのだろうか、と。

設計事務所が考える「木の家」の条件

最近、RC住宅を木質化するリノベーション計画を進めるなかで、
「RCの中に木の家をつくる」とは何かを改めて考えました。

私の中での「木の家」は、単に木が見えているだけの空間ではありません。
たとえば、

  • 壁・床・天井の構造や下地に木を使う
  • 床や内装に無垢材などの木材を使う
  • 建具を木製にする
  • 可能であれば外壁にも木を取り入れる


こうした要素が重なって、はじめて「木の家」と呼べる感覚があります。

しかし実際の建築では、コストや法規、施工条件など多くの制約があります。
では、建物の何パーセントが木でできていれば木の家なのでしょうか。
はっきりした基準はなく、その曖昧さの中で言葉だけが先行していないか。
設計者として立ち止まって考えることがあります。

木の家と素材のリアルな関係

建築素材は環境に配慮し、空気やにおいの問題は以前よりも改善されています。
木が持つ質感や経年変化、触れたときの感覚は、数値だけでは表せません。

「木の家」という言葉には、本来、そうした体験が含まれているはずです。
現実には、見た目だけを木調にすることで“木の家”と呼ばれているケースもあります。

設計事務所の立場から見ると、この言葉と実際の空間のずれは無視できません。
言葉は、家づくりの方向性を決める大切な入り口だからです。

国産材・地域材を選ぶという選択

もう一つ重要なのは、どこの木を使うかという問題です。
日本の森林や地域の循環を考えるなら、できるだけ国産材、可能であれば広島県産材を選びたいと考えています。

しかし現場では、価格の問題から海外の安価な木材が選ばれることも少なくありません。
予算は家づくりにおいて現実的な条件であり、設計事務所だけの問題ではありません。

それでも、施主と設計者が材料の背景を共有しながら選択を重ねていくことで、
建築業界の流れは少しずつ変わっていくはずです。

これからの木の家づくり

木は単なる建築材料ではなく、時間と土地を背負った存在です。
どこで育ち、どう加工され、どんな空間になるのか。
「木の家」という言葉は単なるイメージではなく、具体的な意思を持った言葉になります。

自分がつくってきた建築は本当に木の家だったのか。
この問いは、これからどんな木の家をつくるのかという問いでもあります。

設計事務所として私たちは、言葉と実際の空間の距離を丁寧に縮めながら
木という素材の可能性を形にしていきたいと考えています。
その積み重ねの先に、次の時代の「木の家」の姿が見えてくるのではないでしょうか。

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ねぎもとあやこ
専門家

ねぎもとあやこ(一級建築士)

建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所

木造住宅や古民家再生の経験を生かし、環境や多様な暮らし方にあう計画を提案。日本の自然環境にある木材を生かし、構造・意匠・素材の木のリズムでととのえ、安心感と温もりに満ちた住空間を実現します。

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