年末に部屋をととのえる|新しいことをひとつ始める
『美しすぎる場所』Castle in Glass
1988年に出版された少し古い本です。
東京で設計事務所に勤めていた頃、この本と出会いました。
24人の作家による旅のエッセイがぎっしりと収められ、語られる「美しい場所」は、いわゆる絶景だけではありません。
ページをめくるたびに異文化が立ち上がり、そこで生まれる思いがけない出会いや感情が、読む者を静かに旅へ連れ出してくれます。
その魅力に心を動かされ、私は28歳の時、思い切って一人旅に出ました。
東京で同じような毎日を繰り返していた私の背中を、そっと押してくれた一冊でした。
旅に出たことで、私にも忘れがたい土地とエピソードが生まれました。
時間が経つほどにその記憶は美しく、そして特別なものへと変わっていきます。
旅とは、その瞬間を離れても記憶の中で輝き続けるものなのかもしれません。
日々の生活の中でも、あの時に感じた美しさを探し続けています。
この本を手に取れば、あなたもきっと旅に出たくなるはずです。
私も年齢を重ね、若い頃のような驚きは少ないかもしれません。
今だからこそ深く見えるものがある。そう思いながら、また旅に出たいと感じています。
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