【名前をつけよう】 家づくりのすすめ6
1. 木造が“いま”見直されている理由

住宅の選択が多様になるなかで、木造住宅が再び注目されています。
SNSで見る北欧の暮らし、自然素材のインテリア、環境に配慮したライフスタイル。
時代の流れで、木の家は「古い建て方」ではなく、今の価値観に近い住まいと言えるようになりました。
木は人工的に作られた素材と異なり、育つのに時間がかかります。
だからこそ、木の住まいの中に入ると、そこに“生きた時間”が静かに宿ります。
ふだんの生活の中に、もう一度自然のリズムを取り戻すような感覚。
それが木造の魅力のひとつです。
2. 木材の循環、環境にやさしい家

木の家が選ばれる理由のひとつが「環境性」です。
木材は成長の過程でCO₂を吸収し、建物になってもその炭素を蓄えたまま長く存在し続けます。
これは鉄筋コンクリートなど他の材料にはない特徴です。
さらに、地域材を使えば運搬エネルギーが少なく、地域の森林が健全に循環します。
「木を伐ることは森を守ること」と言われるように、適切な間伐と利用が次の世代の風景を育てていきます。
森の時間と、住まいの時間。
両方をつなぐものとして、木造はこれからの時代に合った建築なのです。
3. 暮らしに“木のやわらかさ”

木の家に入ると、まず空気の質が違うと感じる方が多いと思います。
手に触れたときのやわらかさ、湿度を緩やかに調整する性質、季節によって変わる香りと表情。
木は「住む人の時間に寄り添う素材」です。
新築のときが一番良いのではなく、住み続けることで少しずつ風合いが増し、その変化が暮らしに深みを与えます。
レフトハンズの設計でも、木を“ただ使う”のではなく、空間の中でどう生かし、どう育てるかを大切に考えています。
木の家は、住まい手とともに成長する建築です。
4. “弱点”が更新されていく木造

かつての木造は「寒い」「古い」「弱い」というイメージを持たれていました。
しかし現代の木造は、技術の進歩で大きく変化しています。
耐震性能は金物工法や構造計算によって安定し、断熱・気密は高性能化し、地域の気候に合わせた温熱設計が可能になりました。
CLTなどの新しい木質材料は、公共建築にも使われる時代です。
つまり今の木造は“昔ながらの建て方”ではなく、技術と素材が融合した「現代の木造建築」。
木の家は、伝統と未来を行き来しながら進化しています。
5. 変化にそう、しなやかな構造

いま多くの家庭で、暮らし方が大きく変わっています。
リモートワーク、子育てのステージ、二拠点生活、親世代との同居。
家は一度建てて終わりではなく、人生の変化に合わせて“ととのえ”続けるものになりました。
木造は壁を動かしやすく、増築や改修もしやすい柔らかさがあります。
住まい手の人生の変化を受け止め、空間をしなやかに変化させられる。
木造はこの柔軟性こそが大きな強みです。
木造という選択は、素材の問題だけではありません
暮らし方、どんな時間を家の中で積み重ねたいのかという“価値観そのもの”にかかわります。
木とともに暮してきた日本人の豊かな知恵を思い出し、いまの木造を求めていきましょう。
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