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人は環境を選び・変えれる

ねぎもとあやこ

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テーマ:まち・暮らし

北欧赤
北欧の郊外住宅では、木の板張りの外壁をよく見かけます

色は赤、青、緑といった鮮やかなものが多いのですが

大自然のなかでが楽しげな印象を与えます

日本の住宅でつかわれる色の配色と違って、色そのものが「暮らしの表現」となっています

急傾斜な山が多い日本とは異なり

北欧では硬い地盤の上になだらかに街が広がり、土木構造物がほとんど見当たりません

人の手で整えられた土地でありながら、自然と共に息づく景観が保たれているのです



ノルウェーのモルドにホームステイしたとき、家主のラガハイドから教わったことがあります

外壁の塗り替えは自分たちで行うということ

色を選ぶときは、長い冬の雪景色を考慮して決めるそうです

真っ白な世界のなかで、家の色が心の支えになること

さらに彼女の勤める中学校では

学年が変わるごとに生徒たちが教室の色とカーテンを選び、みんなで塗り替えるのだとか

子供の頃の「自分たちの環境に手を加える」という体験は

単なる作業ではなく、自分の周りの世界に小さな変化を起こす行為です

色を変えることを通して、空間が変わっていくことを体感を通してまなぶのです

その積み重ねが、暮らしそのものを形づくっていくのだと思います



先日、改築の現場で一区切りを迎えました

打合せのときからいつも同席していた猫の背中を見ながら、ふと考えました

人間は自分の住む環境を変えていける存在だということ

そして同時に、その力で環境を壊してしまうこともあるということ

他の動物たちが自然の中に適応して生きているのに対し

人間だけが「環境をつくり変える」ことができます

それは、責任と希望の両方を意味しています

私はひとりでも多くの人に「自分の望む方向に環境を変えられる力がある」ということを知ってもらいたいと思ってます

どんなに小さなことでも、思いをもって変えていくと、世界はすこしずつ変わっていきます

家づくりは、その体験を最も身近に味わえる機会です

完成した家も、これから施主さんの手で少しずつ変わり続けていくでしょう

その“変化の土台”を一緒につくること設計士の大切な仕事のひとつです

今の街中を歩いてみると、色の問題だけでなく、庭や家、さらには土木構造物のあり方までいろいろ気になってきます

素材の色を生かしてきた日本人の感性を思うとき、これからの街づくりや住まいのデザインに、どんな変化を起こしていくべきかが問われているように感じます

人間は、環境を変えてしまう存在であり、変えられる存在でもある

だからこそ、その力を“良い方向へ”働かせるために、建築や設計があるのだと思います

小さな色選びや空間の工夫からでも、私たちは世界を少しずつ、美しく変えていくことができるのです

レフトハンズのブログ カテゴリー「自然・まち・暮らし」から

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ねぎもとあやこ
専門家

ねぎもとあやこ(一級建築士)

建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所

木造住宅や古民家再生の経験を生かし、環境や多様な暮らし方にあう計画を提案。日本の自然環境にある木材を生かし、構造・意匠・素材の木のリズムでととのえ、安心感と温もりに満ちた住空間を実現します。

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