髄膜炎・脳炎の症状-突然の発熱、頭痛、意識障害、けいれんなど
いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
先週は、桜が満開になろうとしていますがあいにく曇り空が多い週でした。
今週こそは快晴の空を背景に桜をみたいものです!
本日は脳出血についてです。
頭痛の基礎知識としての九回目のコラム。
【概要】
脳出血は、脳の血管から出血が起こる病気です。
発症時の主な症状には頭痛や吐き気、体の麻痺などがあります。
症状の特徴や、原因、治療法などについて書いてみます。
脳出血の原因と症状は?
脳の血管に異常が起こり発症する病気を総称して「脳卒中」。
脳卒中は、原因や症状によりさらに「脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」の三つに大きく分類。
脳出血は、血管が破れて血液が漏れて周辺の脳や膜を圧迫し、破壊。
脳出血の場合は、脳梗塞と比べて嘔吐が先行するのが特徴で、このほかに頭痛の症状もあります。
脳出血の原因は主に二つあります。
50代以降に多くみられる動脈硬化により、血管に変化が起こって出血する「高血圧性脳出血」と50歳になる前の年齢層に多い、「脳動静脈奇形」と呼ばれる血管の奇形(AVM)から起こる出血です。
二つとも頭痛と嘔吐の共通症状がみられます。
そして
出血した箇所によって手足などの一部に運動麻痺や感覚障害、言語障害などが出ます。
脳出血は、発症後1~6時間で出血が止まるため、6時間以上たってから意識障害・麻痺などの全身状態をチェックし、軽症と判断されれば手術は行いません。
その場合、降圧剤や脳の腫れを抑制するお薬を点滴。
ところが発症してから受診までの時間が短い時、一見症状が軽そうに見えても出血がまだ止まっていないことがあり。
その場合は、3~4時間後に再度CT検査を行い、脳の状態を再確認。
高血圧性脳出血は発症部位が決まっており、それぞれ症状に特徴があり。
出血の部位別に症状を紹介。
被殻出血
高血圧性脳出血の中でももっとも多く、6割以上を。
片方の手足の麻痺やしびれがありますが、出血が多いと麻痺した方の反対側へ、顔や両目が向いて自分で戻せなくなり、意識障害が進みます。
右利きの人が、左側に脳出血が起こすと言語障害や、利き手の右手が麻痺します。
*右利きと表現しましたが正確には優位半球が左にあるかたです。
被殻出血は、血種が30ml以上で半昏睡状態の場合は手術が選択されるとガイドラインで定められています。
しかし
実際手術を行うかどうかは、患者の状態や年齢、家族や本人の意思などを総合的にみて決定します。
その理由のひとつは、手術で救命できても麻痺や意識障害などは残り、「寝たきり」になることが多いためです。
このタイプの脳出血で意識がはっきりしている時は、リハビリを行えば、70%以上の割合で杖や歩行器などを使いながらも自立歩行ができるようになります。
視床出血
高齢者に多く、発症後に寝たきりや認知症になることも多い病気です。
症状には特徴があり、寄り目や両目が下に向いた状態から動かなくなります。
この他に、片側の感覚障害、不随運動や慢性期には痛みの症状が出現。
この痛みは「視床痛」と。
鎮痛薬が効かないため、これを取り除くために、髄液を除去する手術を行うことがあります。
血腫が大きい時は、これを吸引。
いずれの手術も開頭せずに行います。
小脳出血
頭の激痛、めまい、嘔吐・吐き気、そしてふらつき・歩けない症状が特徴です。
症状が悪化すれば、意識障害や呼吸困難が出始めます。
進行が早い病気なので、症状悪化前に手術を行うのがポイントです。
橋出血
脳幹部分の高血圧性出血の中でもっとも多く、脳管内の「橋」という部分が出血します。
他の脳出血にはない、四肢麻痺症状が特徴です。この他に意識や呼吸障害、嚥下障害も見られ、両目が真ん中に固定された状態や、左右の目が上下にずれるなどの症状もみられます。
また瞳孔がとても小さくなります。
手術治療はできません。
皮質下出血(脳葉出血)
出血した場所により、頭痛や片側麻痺、視野障害や言語障害、けいれんやてんかん発作など症状はさまざまです。
若い年齢層で発症した場合は、その原因が脳動静脈の奇形(AVM)の可能性もあるため、血管撮影を行って出血原因を調べます。
出血がひどいときは、開頭手術を行います。
手術で片麻痺などの症状を改善することは可能です。
脳出血の治療
脳出血は血腫が大きく生命の危険があるときは、手術でこれを除去。
顕微鏡を用いたり、内視鏡を使うなど、その方法や技術は日々進歩。
視床出血や小脳出血の場合は、水頭症を合併することがあるため「脳室ドレナージ」と呼ばれる脳室から脳脊髄液を排除する手術を行うことがあります。
術後、降圧剤で全身状態が落ち着けばリハビリテーションを始めます。
脳出血を起こすと一番問題となるのは、命を救えても、脳出血の特徴的症状である片側麻痺や言語障害などが残ってしまうことです。
またその後に再発するリスクも。
そのため高齢の患者で重症であればあるほど、術後のケアにおいて家族が抱える介護の問題が深刻に。
また現在の医療制度では、ひとつの病院に3カ月以上に及ぶ長期入院をすることが困難なことから、転院をせざるえない事情もあります。
手術を行うかどうかは、患者の年齢や全身状態、術後予測される後遺症などを総合的にみて判断することが望まれます。
脳出血を予防するためには?
脳出血の予防策としてすべきことは、血圧が上がりすぎないようにすることです。
そのため普段の食生活で減塩につとめ、ストレスをためないよう、規則正しい生活や十分な睡眠をとり、疲れを残さない生活を心がけてください。