広島市中区いのうえ内科脳神経クリニックにおける頭痛患者さんの統計
激しい運動をして頭痛になる
とくに今年のような(2018年)暑い気候、高い所の土地でおこりやすい。
重量挙げ選手などは結構な率で起こっていて、あまり気にされてないのではと懸念。
後述しますが、激しい運動時の頭痛は危険な頭痛が含まれるんです。
片頭痛は運動などによって誘発されることが知られております。
血管が運動によって拡張する機序があり、それと関係するといわれております。
片頭痛の患者さんが運動中や運動後にいつもの頭痛がおこるのは大丈夫です。
(ただし初発の頭痛の場合は要注意!お医者さんへ!)
一次性運動時頭痛
本日はこの片頭痛による運動時の頭痛でなく、一次性運動時頭痛という少し特殊な頭痛について語ります。
名前の通り、この頭痛は一次性なんで脳出血やクモ膜下出血などの二次性頭痛と異なり生命を脅かすことはありません。
ただし
クモ膜下出血の症状としても同様のことがおこりますので脳神経の専門医のところに受診することが必須。
当院では、この訴えで当院受診されるかたは年に十数名です。
その中でクモ膜下出血や椎骨動脈解離という血管が切れる病気、可逆性脳血管攣縮症候群という脳血管がけいれんをおこす病気などの器質性頭痛であった例は数例です。
つまり8割がたの患者さんは一次性運動時頭痛であったといえます。
一次性運動時頭痛は多くの場合、脈をうつような痛みです(拍動性頭痛)。
半数くらいのかたは五分間以内に頭痛はなくなります。
でも二日間くらい続いた症例もあるようです。
つまり48時間以上続く頭痛であれば一次性運動時頭痛は考えにくいです。
一次性運動時頭痛の病態生理学的機序
この頭痛の病態生理学的機序は不明。
血管性機序が有力ですが。
身体的な運動によって二次的に静脈あるいは動脈が拡張します。
それで痛みがでるんだろうと。
またこの頭痛を経験されるかたの一部に内頚静脈弁がうまく閉まらないといわれてます。
この頭痛を持つ方の7割のかたが内頚静脈弁の不全があるのに、健常者では2割くらいのかたのみに内頚静脈弁の不全がみられるんです。
頚静脈の逆流で頭の中の静脈血がうっ血するというのが頭痛の原因とのこと。
器質的異常があるんじゃない?
現時点ではこの弁の不全は病気として考えられるレベルにはなりません。
だから器質的異常はないとされてます。
治療
私どもの経験では多くの一次性運動時頭痛は一~二か月で運動時頭痛は消失するようです。
その間は運動を控えるように指導します。
大会など控えている選手の患者さんにはインドメタシンというお薬の運動前に飲んでいただくこともあります。
まとめ
一次性運動時頭痛というのを紹介しました。
クモ膜下出血や椎骨動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群などを鑑別する必要があるので必ず脳神経のお医者さんに診てもらってください。