マインドフルネス
頭痛専門医の頭の中を少しわかりやすく書いてみました。
されど頭痛、最近診察した経験からです。
問題形式で
20代の男性の頭痛
会社で開発した商品のプレゼンテーションをしてました。
急に拍動性の吐き気を伴う頭痛が始まりました。
頭痛は左半分に限局。
プレゼン終了後は嘔吐を繰り返しました。
この頭痛は何でしょうか?
1 片頭痛
2 緊張型頭痛
3 脳腫瘍
この中で間違いは2の緊張型頭痛です。
緊張型頭痛では嘔吐しません。
過去に起こった頭痛の繰り返し
で、この方が過去に何度も同じ頭痛を経験してたら?
1 片頭痛の可能性が高くなります。
そしてこの頭痛が発症してから三日以内に軽快したならばほぼ片頭痛でしょう。
画像は一度見ておきます。
脳腫瘍や脳動静脈奇形がないことは必ず確認します。
これらが原因の頭痛発作があるからです。
そして脳梗塞の跡やモヤモヤ病などの異常に細い血管がないことを確認します。
これらは頭痛の原因になることもありますが、なんといっても片頭痛の特効薬となるトリプタン製剤が禁忌になる状態だからです。
いままで経験したことない頭痛
で、この方がこの頭痛ははじめてといわれたら。
そして頭痛は一週間前からずっと続いているなら。
3脳腫瘍の可能性がぐんと高くなるんです。
そして
頭痛は寝ているときにひどくなるなら。
頭蓋内圧亢進による頭痛!
脳腫瘍の確率は高くなります。
なぜ片頭痛と脳腫瘍?
まてまて、井上先生まだ他にあるんじゃない?
という声が頭痛専門医の先生から聞こえます。
もちろん
国際頭痛分類を紐解かなくても後10種類くらい鑑別疾患思い浮かびますね。
でも
実はこの2症例は最近経験した患者さんを思い出して書いたため選択肢は三つしか挙げませんでした。
ストレスがトリガーになる頭痛は片頭痛が有名です。
でもこの症例のように脳腫瘍の頭痛が発症することもあるんです。
他にこんな患者さんも
また
次のような患者さんも経験しております。
前兆のある片頭痛だと思って市販薬のみで対応されていた方が、実は脳動静脈奇形という病気が原因の頭痛だったり。
脳動静脈奇形は大出血をすると20-40%の致死率。
でもこの頭痛で病院には行く気が起きません。
だって市販薬で治るし。
脳科学者でもわからなかった自分の頭
脳科学者のジル ボルティ テイラーも39才の時に意識を失い、半身不随になるまでご自身が脳動静脈奇形を持っていたなんて知りませんでした。
彼女は、リハビリ後奇跡的な復活をしました。
彼女の場合、年に数回の前兆ある頭痛発作は脳動静脈奇形からの微小出血だったのです。
脳科学者でもご自分の頭痛について脳を調べようとしません。
あなたがもし頭痛を持っているなら、恋人やご家族に一度は相談してみましょう。
客観的に心配してくれる親しいかたはあなたに適切なアドバイスをしてあげると思います。