マインドフルネス
この度の大雨により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心より お祈り申し上げます。
広島市いのうえ内科脳神経クリニックの井上です。
本日は、救急受診の必要性のある頭痛について書いてみます。
たかが頭痛、されど頭痛
頭痛はよくある症状です。
風邪や二日酔い、睡眠不足、過労でおこることはよくあります。
しかし、頭痛のなかにはしばしば恐ろしい病気がかくされていることがあります。
救急に受診が必要な怖い頭痛とはどのような頭痛なのでしょうか?
頭痛の分類
まずは頭痛の分類からです。
頭痛は「一次性頭痛」と「二次性頭痛」のふた通りに分けられます。
一次性頭痛は「原因となる病気がない頭痛」のことです。
片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛などです。
これらの頭痛により生活の質に悪い影響がでることもありますが、
すぐに治療をしないと死にいたるということはありません。
一方、二次性頭痛は「原因となる病気があり、それにより引き起こされる頭痛」です。
風邪による頭痛から、くも膜下出血などによる頭痛など生命の危険にさらされるものまで幅広くあります。
この二次性頭痛にこそ、非常に危険で注意しないといけない怖い頭痛がひそんでいます。
〈一次性頭痛〉
片頭痛(正しくはありませんが偏頭痛と書くこともあります。)
群発頭痛
緊張型頭痛
〈二次性頭痛〉
くも膜下出血
脳出血
髄膜炎
脳腫瘍
緑内障
側頭動脈炎
静脈洞血栓症
椎骨脳底動脈解離
「怖い」頭痛の症状
こんな症状があったら注意です!
・突然起こる頭痛
この頭痛はくも膜下出血を疑わせる頭痛です。
われわれスタッフは、患者さんに「頭痛がおこったときに何をしてましたか?」とおたずねします。
患者さんはの答えにふた通りあります。
その瞬間を覚えているかた。
いつの間にか頭痛が出現していて覚えていないかた。
これはその瞬間を覚えているかたが危険です。
なにをしていたかを覚えているくらいに突然に発症して一気に強くなる頭痛です。
この一気にというのは約一時間と考えられます。
カナダの研究にオタワSAH(くも膜下出血)ルールというのがあります。
そこではくも膜下出血の頭痛は発症後一時間以内に最強になるとされております。
・過去に経験したことがない人生最大の頭痛
「人生最大の頭痛」「金づちで殴られた頭痛」「バットで殴られたような痛み」などの表現が当てはまる場合も、くも膜下出血の疑いが濃厚です。
・麻痺もしくはしびれなどの神経症状を伴う頭痛
麻痺だけではなく、手足のしびれを伴う頭痛は脳出血や脳梗塞の初期症状であることがあります。
このときの麻痺やしびれはからだの左半分や右半分などにおこります。
両手足のしびれの場合は、緊急性のある頭痛の可能性は低くなります。
その他、以下のような頭痛にも注意してください。
・いつもと様子の異なる頭痛
少し異なるというのではなく、明らかに異なる頭痛です。
もちろん少し異なるだけで大事にいたる頭痛であったという事例もありますがそれは稀なこと。
緊急性がある頭痛は明らかに異なる頭痛です。
・頻度と程度が増していく頭痛
たとえば、脳腫瘍などの頭蓋内になにかある場合は、脳圧(のうあつ)が上がって頭痛になります。
正常脳がその占拠性病変により圧迫されて、脊髄などに落ち込むヘルニアなどになれば急に呼吸停止もおこりかねません。
そのほか、髄膜炎や脳炎などもこの頻度と程度が増していく頭痛です。
・50歳以降ではじめて起こる頭痛
片頭痛や緊張型頭痛などのことはまずありません。
・がんや免疫不全など基礎疾患を持つ患者さんの頭痛
がん患者さんで、普段からある頭痛(片頭痛など)が派症した場合は緊急性はありませんが、
いままでなかった頭痛が出現した場合は緊急性があることが多いです。
また、軽くでも頭をぶつけたエピソードがあり、血液をさらさらにする薬であるワーファリンやNOAC(新規抗凝固薬)を飲んでいる患者さんも注意が必要です。
・精神状態の変調をともなう頭痛
幻視や妄想、原因なく気分が急に抑うつ状態になるような頭痛です。
誤解されるのが精神疾患をもたれている患者さんの頭痛です。
これは緊急性はありません。
ただし精神疾患(うつ病など)を持たれているかたでも精神状態に変調がある場合は注意です。
・発熱や嘔吐などをともなう頭痛
よく頭痛時に体温をはかってみたら微熱があると心配されるかたがいらっしゃいます。
そのような発熱ではなく、熱感をともなうような発熱です。
まとめ
たかが頭痛、されど頭痛ですが、緊急性のある頭痛について書いてみました。
病名のみでなく、どのような症状が危ない頭痛であるのか書きました。
緊急度が高い頭痛についてですので、これらが当てはまらないから病院に行く必要はないというってません。
頭痛について生活支障がおこっているかた、なんの頭痛かわからないかたはお時間を見つけて頭痛専門医のドアをノックしていただけると助かります。