難治性片頭痛
本日は非常にめずらしい病気の紹介です。
静脈洞血栓症です。
めずらしい病気ですが、最初の症状は頭痛のみということがあるのです。
めずらしすぎて脳神経系の医師以外で診断されることはまずないと思います。
ただし、この病気のリスク因子は喫煙やピルの使用であったり蓄膿症(ちくのうしょう)だったりします。
この病気は見逃すと死にいたることがあります。
このような病気が存在するから「たかが頭痛、されど頭痛」の言葉は胸に響きますね。
静脈洞血栓症(じょうみゃくどうけせんしょう)
脳には静脈洞という構造をした静脈系があります。
脳の中を灌流してきた血液が、頭から出ていく前に、最後に集まってくるところ。
頭の外へ出ていく血液の出口です。
静脈洞血栓症という病気はその出口にある静脈洞が血の塊(かたまり)で詰まってしまうのです。
血液が頭の外にでていかなくなります。
頭蓋内圧亢進
静脈性脳梗塞 通常の脳梗塞は動脈の閉塞です
脳出血
けいれんなど
を起こします。
脳静脈洞血栓症の疫学
1/100万/年の発生率と非常にまれです。
すべての脳血管障害の0.5-1.0%しか発症しません。
原因と危険因子
経口避妊薬
ホルモン剤(乳がんの治療のときに使用されるプロゲステロンなど)
妊娠や出産にともなう凝固能の亢進
凝固異常症など
副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎、乳突蜂巣炎などの炎症性疾患が静脈洞にまで波及し、血栓を形成する場合もあります。
喫煙
以上が原因であったり危険因子でありますが、20-30%の患者さんはこれらの要因がなくても発症しております(文献により12.5%というものもあります)。
症状
急性発症と慢性型があります。
急性発症
突発性や24時間以内の急性発症です。
慢性型
頭痛が数週間先行
最多の症状は頭痛です。
初期の症状として70~90%の患者さんに見られます。
その他はけいれん、悪心嘔吐、意識障害、うっ血乳頭といった症状が見られます。
頭痛は頭全体がひどく痛みます(時に片側)。
進行性であるといわれ、頭痛以外の症状が出現しないことも多く頭痛だけで本疾患を疑うのは困難です。
片麻痺(かたまひ)を呈したり、耳の痛み、眼のあたりの痛みや眼球の動きに障害をきたしものが二重にみえたりすることがあります。
【参考文献】
Stroke 2011;42;1158-1192