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漢方薬は未来薬?

井上健

井上健

テーマ:漢方薬と頭痛 


先日、頭痛とストレスというコラムで漢方薬のことをこんなものでと表現しました。
しかし、漢方薬ほど未知への可能性を秘めた薬はないというのも事実です。

過去にサーチュイン遺伝子を制御する生薬(しょうやく)と言われてる蒼朮(そうじゅつ)が注目されたり冬虫夏草(とうちゅうかそう)から多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)の予防薬であるフィンゴモリドという西洋薬がつくられたりした経緯があります。

頭痛でよく使用される五苓散(ごれいさん)という生薬ですが、体の水分調節をすると言われております。
脳神経関連では脳浮腫・慢性硬膜下血腫・頭痛・三叉神経痛などの神経痛(後頭神経痛など)でよく使われます。総合病院の脳神経外科の先生で普段漢方を使用しない先生でも慢性硬膜下血腫では五苓散をよく使われます。
漢方医学的な説明はさておき西洋医学的には五苓散は抗炎症作用と浮腫形成の抑制作用があるといわれてます。研究では五苓散の生薬の成分の桂皮(けいひ)はERK*のリン酸化を抑制して抗炎症作用を示します。また生薬の蒼朮、猪苓はアクアポリン*を阻害し異常な水の移動を抑制します。

難しい言葉を使いましたが要は漢方の生薬は西洋薬に劣らず西洋医学的エビデンスがはっきりとしているということです。

そして、このエビデンス研究により今漢方薬は未来薬として注目されてます。
*アクアポリン(アクア→水 ポリン→孔)小さな膜蛋白です。組織に炎症がおこると血管透過性が亢進し、浸透圧バランスが崩れ、細胞膜上のアクアポリンを通じて組織中に水が流入して組織が腫大します。
(やけどの時に腫れる感じです)
*ERK 細胞外シグナル調整キナーゼ アクアポリンはこのERKのリン酸化反応を介して炎症反応を亢進させます。

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井上健
専門家

井上健(内科医)

いのうえ内科脳神経クリニック

あらゆる頭痛の原因を診断するためには脳だけの専門でなく全身を診ることが必要になることもあります。

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