難治性片頭痛
いのうえ内科脳神経クリニックの院長の井上です。
私どもは頭痛専門で広島市中区舟入(ふないり)で診療をしております。
広島で頭痛外来をしている病院は少ないです。
片頭痛患者さんは日本中で840万人と総人口の約8%位います(Sakai ら1997)。
広島市の人口は120万人*ですので、大雑把に片頭痛患者さんは広島市内に8.4万人くらいいることになります。
頭痛外来をする医療機関は限られてますので多くの患者さんは病院には受診してません。
「痛くなったすぐ○○○」、「頭痛に○○○○」といった具合に市販薬(OTC)を内服しているわけです。
日本国内の受診率も低率(30.6%)と言われてますが広島市はそれ以上に低いかもしれません。
OTCを否定するわけではありませんが、片頭痛でOTCを月に半月以上、三か月間も飲んでいると頭痛薬が脳の感覚域値を変えてしまって、頭痛を惹き起こす結果になります。
*広島の人口 平成29年10月現在 広島市120万人 中区14万人 西区19万人 安佐南区25万人
そのような状態が薬剤の使用過多による頭痛です。
この頭痛は重症であり日常生活の半分以上が頭痛によって支障をきたします。
統計的には片頭痛患者さんの3%未満といわれてますので97%の方はOTCを飲み過ぎにはなってなくうまく使われているのかもしれません。
しかし、当院に受診する片頭痛の患者さんの2-3割が薬剤の使用過多による頭痛です。
患者さんの多くは薬を月半分飲んでたらだめだとは知らなかったといわれます。
薬の箱や説明書にも一日量は書いてますが月に何日まで飲んでいいかは書いてません。
このあたりは患者さんに啓蒙すべきことかと日ごろから思ってます。
片頭痛治療にはトリプタンという特効薬がありますが内服するには医師の処方箋が必要です。
OTCの効果がいまひとつで日常生活に支障をきたすかたは、是非頭痛専門医のドアをノックしていただけると幸いです。
月に数回以内の発作回数で、頭痛発作による生活への悪影響があまりなければOTC使用もよく、急性期治療を中心に行います。
しかし、発作の回数が多い方や、生活への影響が強いなら急性期治療に予防療法を加えます(月に2回以上あるいは6日間以上の頭痛で考慮します)。
予防療法
予防療法は効果が現れるまでに、通常1~2ヵ月の期間がかかりますので、少なくとも2ヵ月は継続してみて、効果を判定するようにします。
エビデンスレベルの高い予防薬は医師の処方が必要ですので医療機関に受診してみてください。
*薬剤の使用過多による頭痛はかつて薬物乱用頭痛と呼ばれてました。
*予防薬治療が必要でないかたも片頭痛患者さんは一度は頭痛専門医を受診されることをおすすめします。
*頭痛専門医をお探しの方は、日本頭痛学会のホームページで検索すると便利です。
*Sakai F, Igarashi H: Prevalence of migraine in Japan: a national wide survey. Cepahlalgia 17:15-22, 1997