成年後見人とは何をしてくれる人
少し後見制度を詳しく説明するならば、認知症になる前に自身の意思で後見人を選ぶ任意後見についても付け加える必要があります。認知症ではなく自身の意思表示はできるが、自力歩行が難しく銀行に行きお金の出し入れができない場合、高齢になり難しい文章や説明が理解ができず契約行為が難しい場合、他にも若い時には出来たけれども高齢になると出来ないことが多くなってきます。そんな時には、自分の意思で後見人を選択し、公証人役場で公正証書を作成し任意後見契約を結び、事務委任契約も加えることで、即時に財産管理と身上保護を依頼することが可能となります。また、後見制度、任意後見制度ともに身内がいないなど死後の処理に困る可能性がある場合は死後事務委任契約も加えることになります。
一般的に、成年後見人というと基本的には専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士)が家庭裁判所から選任されます。しかし任意後見人につきましては、被後見人本人の意思で誰を選んでも良いということになり、専門職以外の人でも後見人に就任することが可能になります。尚、専門職後見人以外の人達を市民後見人と称します。任意後見人に限らず、成年後見人につきましても今後は市民後見人の活躍が必要と言われ、全国的に支援が必要な高齢者の増加により、専門職後見人だけでは支援しきれない問題が発生してきています。今後は、市民後見人が裁判所から選任されていく方向になっていくようです。
前回に述べたように、後見人が他の専門職者(介護職員、ヘルパー、ケアマネージャー等)などと連携し被後見人をサポートしていく中で、サポートしきれないことがあることをお伝えしました。それはどのようなケースか云うと、簡単に云えば経済的に困窮しているケースです。例えば、高齢者であれば通院のケースも増えていくはずです。基本的にはタクシーやバスを利用し通院をすれば良いのですが、金銭的に利用できないケースでは通院できなくなってしまいます。施設に入所する際に布団やタオル、衣類を新たに調達しなければならないケースも同じように金銭的に調達できないことも多くあります。他にも借りている賃貸アパートから施設に転居する場合、賃貸アパートの片付けを清掃業者に依頼するだけの金銭を持ち合わせていないことも多くあります。そこで私達、市民後見人は様々な知恵を絞り、金銭的な負担を避け対処することを考えていきます。現実的に、金銭的に困ってしまうケースは、市民後見人がボランティアとして業務外のことを行わざるを得ない状況になり、市民後見人ひとりでは困難を極め、仲間の協力が必要になります。現在では法人組織で後見業務を受任するケースも増えてきています。いざという時に頼りになるのは法人での後見受任と云えます。
以上、簡単に後見制度について簡単にお伝えしましたが、全体のうち一部しかお伝えすることはできません。更に詳細について説明を聞きたい方や後見制度の利用を検討したい方は是非、一度ご相談ください。