打ち合わせから設計、施工まで手掛け、真心を込めたお墓づくりを提案（2/3）

家業で修行し、「石でご縁がつながるように」との思いを社名に込めて創業

　奥野さんは1969年に前橋市で生まれました。実家は、祖父が戦後間もない頃に興し、現在まで続く石材屋です。「私は次男で後を継ぐ予定もなかったので、高校を出た後は自動車整備士を目指して東京の専門学校に入りました」

　卒業後は地元に戻ってディーラーで整備士として勤務しますが、24歳のとき、人手が足りずに困っていた父に頼まれ家業に入ります。以来、営業から設計、文字彫刻、設置工事まで石にまつわる工程を一通り経験し、スキルを磨いてきました。

　長らく現場に立ち家業を支えてきましたが、実家は兄が継ぐことになり、奥野さんは2020年9月に独立。「石でご縁がつながりますように」という思いを込めて、「石縁堂」と名付けました。
　
　「2021年に、福島のご出身で前橋に暮らしている方から、お墓の移転を依頼されました。お彼岸やお盆のたびに遠く離れた故郷へ足を運ぶのは大変だけれど、本家のご先祖さまが代々眠っておられるので、手入れが行き届かなくなるのは忍びないとのことでした」

　墓所を整地した後、近くにあった分家のお墓をそこへ移し、前橋に本家の新しいお墓を建立。「全てを終えるまでに時間がかかりましたが、お客さまは『これからは側にいて供養ができる』と感謝してくださいました」と顔をほころばせます。

　実家で働いていたときも会社を立ち上げてからも、奥野さんが心掛けてきたのは顧客と長きにわたる関係性を築くこと。建てておしまいではなく、そこから本当の付き合いが始まると考えています。

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