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宿題やったらゲーム1時間OKはなぜダメか?/文明・構造(思想)編(3-4:役割・責任の忌避)

嶋﨑剛志

嶋﨑剛志

テーマ:文明・構造(思想)

生活短観


昨日は珍しく赤城おろし(からっ風)が吹いてなかったので、
マルチを剥がしに行った。
そしたら、たまたま、以前電話営業していた漬物屋の社長が、畑に来てくれた。
2月以降、大根が足りなくなるとのこと。
しかも、漬物用大根でなく、普通の青首大根が欲しいと。

今年は大根が豊作であまり売れないし、安い。
相当余る(廃棄する)覚悟はしていたが、拾う神あり!

とはいえ、単純に喜んでいられない。
買取価格が安いので、そもそも利益は出るのか?
ファームドゥ向けの出荷作業とは、全く違う手順も確立せねばならない。
そして、量が違う。
軽トラしかないので、収穫・納入に何往復するのか?

しかし、これは良い変化、兆候だ。

窮則變,變則通,通則久
きゅうすればすなわちへんじ、
へんずればすなわちつうじ、
つうずればすなわちひさし
出典:『易経(周易)・繫辞下伝』

意味:
困れば変化し、変化すれば道は開け、持続する。

“It is not the strongest of the species that survives,
nor the most intelligent,
but the one most responsive to change.”
(実際はダーウィンではなく後世の言葉らしい)

意味:
生き残りを決めるのは強さでも知性でもなく、
変化への応答能力である。


変わるのは本当に難しい。
責任も伴うし、失敗もするだろう。
でも、変わらなきゃ!


責任忌避と役割放棄

現象の提示


近年、さまざまな場面で「引き受けない」行動が目立つようになった。

・親になりたくない
・管理職になりたくない
・責任のある立場を避けたい
・判断を下したくない

仕事でも、家庭でも、地域でも、政治でも、
「やらなければならない役割」から距離を取る動きが広がっている。

これは一部の人の問題ではない。
むしろ、社会全体に均等に広がっている。

なぜ不可解に見えるか


責任や役割は、本来、

・信頼
・裁量
・成長
・社会的評価

と結びついていた。

引き受ければ、
苦労は増えるが、意味も増える。

それにもかかわらず、多くの人がそれを避ける。

「最近の若者は責任感がない」
「甘やかされている」

そうした説明もあるが、
それでは説明しきれない。

なぜなら、
同じ行動は大人にも、ベテランにも、管理職候補にも見られるからだ。

最小モデルとしての「宿題」


この構造は、実は子どもの世界ですでに現れている。

宿題とは、

・自分のため
・将来のため
・今は面倒
・誰も代わりにやってくれない

という、最小単位の「責任」である。

ここでよく使われるのが、

「宿題をやったら、ゲームをしていい」

というやり方だ。

この瞬間、宿題は

・学ぶための行為
ではなく
・報酬を得るためのコスト

に変換される。

責任は、
「果たすもの」ではなく、
「割に合えばやるもの」になる。

即時報酬構造による再解釈


この変換が起きると、次が必然になる。

・報酬がなければやらない
・条件が悪ければ拒否する
・より良い条件を探す

これは怠けではない。
即時報酬に対して、極めて合理的な反応である。

重要なのは、
この回路が子どもの時点で形成されることだ。

宿題という「ミニ責任」で刷り込まれた構造は、
そのまま大人の世界へ持ち越される。

大人になってからの役割放棄


大人の世界では、宿題は別の形を取る。

・管理職
・親
・判断する立場
・責任を負う役割

これらはすべて、

・負担が先に来る
・報酬は後から
・失敗のリスクが高い

という、典型的な遅延報酬である。

一方、即時報酬文明では、

・刺激
・承認
・安心
・回避

が、すぐに手に入る。

この環境で、

「割に合わない役割」を引き受けないのは、
性格の問題ではない。

構造に対する合理的な選択である。

結果として起きている現象


この構造のもとで、次のことが同時に進む。

・責任の分散
・判断の先送り
・役割の空洞化
・「誰かがやるだろう」という空気
・形式だけの引き受け

表面上は平穏に見えるが、
社会は少しずつ機能を失っていく。

天国のネズミ実験で起きた
「役割の消失」と同じ現象である。

ここでは解決しない


ここで、

・責任感を持て
・覚悟を決めろ
・昔は違った

という話はしない。

責任忌避や役割放棄は、
誰かの未熟さの結果ではない。

即時報酬が満たされた文明では、
責任と役割が割に合わなくなる

それだけである。

私自身も、この構造の外にはいない。

この章で行うのは、
それを是正することではなく、
そうなっている現実を、正確に記録することだ。

大好きな炭水化物よ、さようなら!

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嶋﨑剛志
専門家

嶋﨑剛志(農業法人)

農業法人株式会社こうづけの里

色・形良く、艶・張りもある美しくおいしい野菜を育てるため、微生物、有機肥料、化成肥料、農薬など、あらゆる手法を適切に使用。低コストで価値ある野菜を顧客に届け、農業と地方の再生、事業継承にも取り組みます

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