竹中大工道具館
パズルの最後の一片がはまり、新しいキッチンが「家」の一部になりました。
以前のコラム(キッチンのしつらえ)でお話ししていたキッチンの改修工事が、無事に完成を迎えました。
設計の段階から「この家の素材のお友達」を探し、現場では「木目の不思議」に驚かされながら進めてきたこの工事。最後は自分たちの手で、隅々まで丁寧に掃除をして仕上げます。
床を覆っていた養生をペリペリとめくっていく瞬間。
そこには、想像以上にしっくりと馴染んだ景色が広がっていました。新しく入れたピーラーの壁も、チークの床も、ホーローのキッチンも。まるでずっと前からそこにあったかのように、家全体と手を取り合っています。
工事の間、いつも嬉しかったのが休憩の時間です。
お客さんが毎日、10時と3時に飲み物やお菓子を出してくださいました。
「職人さんたちが頑張ってくれているから」
そんなお客さんの優しいお気遣いに触れるたび、僕たちも「その分、しっかり作業して返そう」と、自然と手に力が入りました。掃除も、最後まできちんとしたくなります。
完成したキッチンを見て、お客さんが「すごい綺麗になりました、素敵です。とても嬉しいです!」と満面の笑みで喜んでくださいました。
一生懸命に図面で書いたものが、目の前でこうして形になる喜び。
そして何より、作ったものをお客さんがそんなふうに喜んでくれたことが、本当に、ただただ嬉しかったです。
最後、現場を離れるとき。
お客さんがわざわざ外まで出てきてくださって、「最後のお菓子」と言って手渡してくれました。それが、本当に、とても嬉しかった。
今回の工事を通して、改めて感じたことがあります。
40年前にこの家を設計した人、施工した人。その人たちがいたからこそ、僕はそのデザインに合わせて「これを作ろう」と思うことができました。
当時の思いが、40年経った今、僕にしっかり伝わった。
だからこそ、このキッチンができたんだと思います。
僕も、40年後の誰かに「いいな」と思ってもらえるような、そんな設計をしていきたいです。
任せてくださったお客さん、そして、以前この家を作ってくれた人たち。
本当にありがとうございました。
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