ひのきの床板
40年前の記憶を繋ぐ、特別な素材との出会い。
キッチンの計画がまとまり、いよいよ材料の手配を始めました。
今回の設計で大切にしているのは、40年前の家の仕上げ材に馴染む「お友達」のような素材選びです。
リビングの壁に合わせ、同じピーラー材(米松)を使うことに決めました。
ところが、いざ探し始めてみると、理想の材料がなかなか見つかりません。
今の家の木をよく見ると、驚くほど木目が細かく、長い年月をかけてゆっくりと育ったことが分かります。
しかし現在は、そうした良質な材は使い尽くされてしまい、市場にあるのは日当たりの良い場所で早く育った、木目の粗いものがほとんどです。
「この空間に馴染む、綺麗な木目のピーラーはないか……」
考えた末、普段大工が使うルートではなく、建具屋さんの視点で探してみることにしました。
いつもお世話になっている建具屋さんに相談してみたところ、建具専門の材料屋さんに辿り着きました。
そこには、古くから商売をされている材料屋で、何十年もの間、静かに寝かされていた材料がありました。
目の前に現れたのは、今の時代ではまずお目にかかれないほど、びっしりと目の詰まったピーラー材。
これほど見事な材料を扱うのは、僕も初めての経験です。
「これを削ったら、どんな表情を見せてくれるだろう」
図面の上で考えていた仕上げが、最高の素材と出会ったことで、一気に現実味を帯びてきました。この木が、今の家にどう馴染んでいくのか。
大工として、今からワクワクが止まりません。
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