木と絵本と家と
子供の切実な要望が、新しい部屋を作りました。
先日、ETTORU WOODで約10数年前に建てさせていただいたお宅で、工事をしてきました。
建てた当時はまだ小さかったお子さんのために、広いままにしていた子供部屋を、二つに間仕切る工事です。
今回、工事をすることになった背景には、お子さんの成長がありました。
大きくなって趣味が違ってきたこと、そして何より「自分の居場所が欲しい」という切実な声が、親御さんに相談されたきっかけでした。親御さんは、費用のことも考えて、最初は簡単に壁だけで分けようと計画されていました。
しかし、お子さんは「物が置きたいから、やっぱり棚が欲しい」と具体的に要求してきたそうです。
そこで、単なる仕切りではなく、部屋の機能としてクローゼットに棚と服掛けをきちんと設けることになりました。
この、子供からの具体的な要求で計画が変わっていくという過程が、とても素敵だと感じました。
お子さんにとっては、自分の成長に合わせて部屋ができることが嬉しいですし、自分の要望が職人さんとの話し合いを通じて形になっていくのを見るのは、きっと特別な経験になったはずです。
作っている間も楽しみで、「早くできないか」と完成をせかされたりしました。
家づくりは、建てる時がゴールではありません。その後の暮らしに、家族の成長や変化に合わせて手を加える「楽しみ」を残せること。そして、その過程を家族みんなで分かち合えることが、本当に大切なのだと改めて感じました。
そして、部屋が完成した直後、お子さんは早速たくさんの物を置いて喜んでいたそうですが、親御さんに「もう散らかっている!」と怒られたという、微笑ましいお話を聞きました。
家も、こうして家族の日常の中で、少しずつ完成していくものなのですね。



