ほぞのはなし
コーヒーのプロのこだわりが、家づくりとそっくりでした。
先週末、愛知スカイエキスポのイベントで、HUBLIC COFFEEさんが企画されたブース「Japan Coffee Journey」の設営と撤去を、お手伝いさせていただきました。
初めてのイベントブースの設営でしたが、全国から集まった焙煎士さんたちが、それぞれのコーヒーに対する熱い想いを語る様子を見ていて、ふと、「この仕事、僕らがやっている家づくりと似ているな」と感じることが多かったのです。
コーヒーのプロフェッショナルの方々は、豆を選ぶ段階から徹底しています。
ただ味が良いというだけでなく、栽培環境、生産者の姿勢、そしてサステナビリティ(持続可能性)といった豆が育った背景まで丁寧に確認し、信頼できるロットだけを選んでいるそうです。
これは、まさに僕らが木材に向き合う姿勢と同じだと感じました。
「ナラの木」と一言で言っても、山や育ち方、乾燥のさせ方で表情が全く違います。木の背景を知り、その性質を最大限に引き出す使い方を考える。
良い家づくりの基本は、「素材の背景を知る」ことにあるからです。
そして、選ばれた豆は、各焙煎士さんの感性によって、それぞれ唯一無二の味わいへと変化していきます。
同じ農園の豆でも、焙煎というプロセスを通すと、風味は多彩に広がり、一杯ごとに個性が宿る。
この「焙煎士の解釈と仕上げ」の部分も、建築の仕事と重なります。
お客様の想いという「素材」を、僕ら設計者や職人が受け取り、図面や加工という「プロセス」を通す。
どういう風に光を取り込むか、どういう仕上げで手を触れてもらうか、その解釈によって、出来上がる空間の「個性」は全く変わってきます。
コーヒーが飲む人の五感を満たすように、僕らの仕事も、そこで暮らす人の生活を豊かに満たさなくてはいけません。
分野は違っても、「確かな背景を持つ良い素材を厳選し、職人としての感性でその個性を最大限に引き出し、最終的に使う人に最高の形で届ける」という情熱は、コーヒーのプロフェッショナルも、僕ら建築の職人も、共通しているのだと改めて実感することができました。
新しい現場で、新しい視点をいただいた週末でした。こういう発見があると、また次の仕事が楽しみになります。
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