ベンガラ
9月も終わりが近づいて、ほんの少しだけ秋を感じるようになりましたね。これまでやってきた改修工事もいよいよラストスパート!
大工である僕の作業が一段落して、いよいよ仕上げの左官工事にバトンタッチです。
左官の仕事は、単に壁を塗るだけじゃありません。実はこれ、日本の建築には昔から欠かせない技術で、その歴史は縄文時代までさかのぼるんです。
土とか自然素材を使って、職人が手作業で仕上げていく。その魅力は、なんといっても素材の風合いと、手仕事が生み出す温かさです。
今回使うのは、風情ある聚楽壁(じゅらくかべ)。京都の土を原料にした壁材で、上品な色合いと柔らかな質感が特徴です。
聚楽壁は、まさに「育てる壁」。自然素材だから、住む人の暮らしや季節の移り変わりで、少しずつ表情を変えていきます。夏は湿気を吸って、冬は乾燥を防いでくれる。そんな調湿効果は、家を快適に保つだけでなく、壁自体も呼吸している証拠です。
最近は、手間のかからないビニールクロスが主流ですが、手仕事で仕上げた壁には、それとは全く違う価値があります。
それは、時間とともに変化し、風合いを増していく「美しさ」。まさに世界に一つだけの、自分だけの壁になるんです!
左官工事は、まるでアート作品みたいです。職人の感覚がそのまま形になる作業。鏝(こて)と呼ばれる道具で壁に深みを出したり、模様をつけたりするんです。
空間全体に温かい雰囲気をもたらしてくれます。機械では決して出せない、手仕事ならではの温かさ、美しさがあります。
左官さんが壁を仕上げていくと、それまで「ただの工事現場」だった空間が、一瞬で「家」になっていくのがわかります。この瞬間が本当にすごいです!



