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大橋正寛プロはぎふチャンが厳正なる審査をした登録専門家です

カモイとシキイ

大橋正寛

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テーマ:こだわり

現場では、改修工事が進んでいます。今週は、部屋の入り口となるドアや襖(ふすま)や障子といった建具が入る枠を取り付けていました。



突然ですが、普段の生活の中で、「あの店は、ちょっと敷居が高いよね」なんて言葉、使ったり聞いたりしませんか?
ところで、その「敷居」、家のどの部分かご存知ですか?普段あまり意識しないかもしれませんが、実はちょっと面白い秘密の入り口なんです。



敷居とは、今まさに、現場でつけている入り口の下側にある枠のことです。
具体的には、和室の襖や障子の下にある、溝が彫られた横木のことを敷居。そして、その上にある対になるものが「鴨居(かもい)」です。



昔は、部屋と部屋を隔てる敷居を、家の内と外を分ける結界のように捉える文化がありました。「敷居が高い」という言葉も、そこに由来すると言われます。

でも、この鴨居と敷居の役割はそれだけではありません。よく見ると、これらは柱の面よりもほんの数ミリ、奥に引っ込んで取り付けられています。
今度、和室の角をじっと見てみてください。柱と鴨居がくっついている部分です。実はこの二つ、ぴったり平らではなく、鴨居のほうが柱の面よりほんの少しだけ、奥に引っ込んでいることがほとんどです。



これ、実はわざとなんです。大工さんの世界では、この奥ゆかしい納まりを「控え面(ひかえめん)」と呼んだりもします。
なぜ、わざわざ引っ込めるのか。このわずかな段差が、家の骨格である柱の輪郭をすっきりと見せ、生まれる陰影が空間に奥行きと落ち着きを与えてくれるのです。

見た目だけでなく、「控えめ」な姿勢で主役の柱を立てる、という日本的な美意識の表れとも言われます。名前も「控え面」。なんだか、その心遣いが形になったようで面白いですよね。昔の人の知恵は、機能だけでなく、佇まいの美しさにまで及んでいるのです。

何気なく見ていた木枠にも、実はこんな理由と素敵な名前があったんです。今度、ご実家や旅館の和室を見る機会があったら、ぜひ柱と鴨居の「段差」、探してみてください。いつもの景色が、少し違って見えるかもしれません。

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大橋正寛
専門家

大橋正寛(大工、二級建築士)

ETETORU WOOD 梅津建築

大工として培った高い技術と、建築士の資格を生かし、顧客の暮らしに寄り添った住宅を提案。伝統技術「手刻み」の考え方により、木の美しさを引き出しながら、現場目線で住みやすい設計案を提示する。

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