続くくらし、初まるくらし、

築120年の民家の改修工事が始まりました。現在は家の一部を解体し、新しくするための柱を手刻みで作っています。
築120年というと、明治時代に建てられた家ということになります。明治時代の家と聞いても、なかなかイメージが湧かない方も多いかもしれません。しかし、その時代は日常の道具も今とはまったく異なり、電気もガスもまだ普及していませんでした。
そんな時代に建てられただけでも驚きですが、それが特別な建物ではなく、ごく普通の民家であり、その家で家族の暮らしが代々続いてきたこと、そして今もきちんと立ち続けていることに、さらに驚かされます。
昔の大工さんは、機械ではなく手作業で柱や梁を作っていました。今のように工場で作る部品のように機械任せではなく、ぴたりと合うように仕上げていきます。木のクセや微妙な歪みに合わせて、一つひとつ職人が調整していたのです。料理に例えるなら、インスタント食品ではなく、素材から丁寧に切って味を引き出すようなものです。
解体作業をしていると、古い木の匂いや傷が見えて、長い年月の経過を感じます。新しい柱を手刻みで作るのは、そうした古い木の特徴を見極めながら、一つひとつ丁寧に仕上げるためです。
こうして昔の家の良さを残しながら、新しい家へと生まれ変わっていきます。




