下関市防災協会 防災研修会にて講演をさせていただきました
消防訓練は日頃からの意識が大切!
火災予防は、消防法の規制の体系上、消防用設備などで火災を防ぐハード規制と、防火管理者などを実務的責任者として建物の所有者、管理者、占有者全員で火気管理、建物の日常点検、消防訓練などを行うソフト規制からなっています。
この2つが有機的に結びついてこそはじめて、実効性の高い防火対策といえるでしょう。
火災予防という観点で考えると、ハード面として設置している消防用設備などの維持管理は当然のこととして重要になってきますが、やはり、テクニカルな部分の細かい維持管理は、専門家に任せるしかない部分もあります。
そうなってくるとやはり、建物の所有者、管理者、占有者それぞれが、自分の立ち位置で有事の際のことを考え、動くこと、つまり、ソフト的な対応が組織的に取り組むことができる防火対策の近道になってくるでしょう。
たとえば、お仕事をしている最中であったり、また、居住しているマンションであっても、ただ漫然と過ごすのではなく、業務の合間に職場の持ち場近くや自分の住戸の直近の消火器の設置位置を確認しておくであるとか、避難口の確認、散水栓のボックスの位置の確認をしておくという習慣をつけておくだけでも有事の際には結果に違いがでてくるはずです。
繰り返しの習慣が命を救う!
事実、歴史上、最も被害が大きかった日本の商業施設火災、「大阪千日デパート火災」(1972年5月13日発生、死者118名・負傷者81名)においては、濃煙に巻かれ、最も多くの死傷者を出した7階から非常階段を使用して自力避難した一人の女性従業員がいらっしゃたそうです。
この一番被害が大きかった7階では煙に巻かれて出口を探してパニック状態になった利用者や従業員が、やがて退路を失い、バタバタと倒れていっていました。
では、なぜこの女性の方は運良く避難することができたのでしょうか?
それは、この女性がダイエットのため毎日7階まで非常階段を使用して出勤(上り下り)していたからです。
普通、多くの方は7階といった高層階になるとエレベーターを使用するため、非常階段がどこにあるかというところまではあまり認識していないことの方が多いのでしょうが、この女性に関しては、習慣として非常階段の位置が頭に刷り込まれていたわけです。
この行動習慣があったからこそ、火災の際、濃煙に巻かれ視界ゼロの災害現場の中でも避難階段がどこにあるのかということが頭にしっかり入っており、多数の在館者がパニックに陥り、一酸化炭素中毒で倒れていく中、この女性だけは避難階段にたどり着くことができたのです。
この行動は、日頃から使用し訓練していたからこそはじめてできたことであり、災害時パニック状況下においてこのような冷静に行動することは、日ごろの積み重ねなしには決してできることではありません。
消防業界では、「訓練でできないことは、本番でもできない」とよく言われたりしますが、この事例は、繰り返しの習慣・訓練が命を救った教訓的な事例ではないでしょうか?
とはいっても、消防訓練のやり方が分からない・・・・
消防訓練は、防火管理規制がかかる建物について、管理権原者の義務(消防法第8条第1項)や、防火管理者の責務(消防法施行令第3条の2)として、消防計画の中で実施しなければならないことが決められています。また、消防訓練には消火訓練、避難訓練、通報訓練等があり、防火対象物の用途などによって、年間の訓練回数も定められています。
特に、飲食店、ホテル、病院、物品販売店などの不特定の人が出入りする建物では消火訓練及び避難訓練を年2回以上、通報訓練を年1回以上実施し、あらかじめ消防本部へ通報(届出)することなども義務付けられています。
しかし、ひとえに消防訓練といっても、担当者は何から手を付けて良いか分からないのではないでしょうか?
当社では、消防訓練の企画立案から、行政庁への通報、報告等まで行っており、最終的には自主訓練が可能になるところまでを目標に全面サポートいたします。
消防訓練の代行サポートについては、ご気軽にご相談ください。
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