元受刑者”再生゛への日々
弊社が運営しているそんとく塾には、多くの刑務所出所者や少年院出院者が、「学び」を求めて通ってくる。彼らの多くは、仮出所中または保護観察中である。行動監視や行動制限がありおとなしくせざるを得ない。ところが、満期を迎えたり出所出院後しばらく時間が経つと素の自分が現れ、再犯はしなくてもトラブルメーカーになったり社会逃避したりする。そこで寄り添い話しをしようとしても「聞いたふりをする」「聞く耳をもたない」「屁理屈を言う」、耳を傾け話を聞こうとしても「心を開かない」「避けて通ろうとする」など、とにかく扱いづらい人たちがたくさん学びに来ている場所がそんとく塾だ。
そして、そんな人たちが、「学び」を通して罪人から人財に変われる場所。それがそんとく塾だ。
「学び」こそが人を育て変化をもたらす。
ある塾生のとの会話から、彼が人財となっていっている様子がうかがえるのではないか。
Aさん
30歳
懲役4年6ヶ月
出所後2ヶ月
建設関係企業に就労中
題名:アポカン 糞(アポ)を通す汚水管(カン)のこと。
Aさんは深夜一畳程の隙間に潜り込み古くなったアポカンを取り外し、新しいものに代える仕事を任されている。周りの同僚からは、アポカンアポカンといじられるらしい。仕事中は、管の中にたまった糞尿がしぶきとなって顔面めがけて飛んでくるそうだ。
「なかなか臭いきつんですよ」
笑いながら話す彼は、2ヶ月前に刑務所を仮出所したばかり。
そんとく塾で学び、仕事にいそしみ、被害者への謝罪と賠償を続けながら、二度と罪をおかさないため生きなおしをしている。
夕方、本日の学びを終え、彼は言った。
「今日もアポカン深夜勤です。お疲れ様でした」
その声には張りがあり、笑顔に満ちていた。
私は、そんとく塾での学習を終え、会社の寮に仮眠を取りに行く彼を、応援せずにはいられない。
彼は中学高校とスポーツで全国レベルの成績を残し学業もそこそこだった。しかし、弱い立場の人を下に見たりする性格があったとのこと。その結果「楽に稼ぐには」「自分の満足を得るためには他人を傷つけても」など、自己中心的な考えに固まっていた。
その彼が「アポ管作業を」黙々と日々行っている。それも我慢や忍耐ではなくやっている。
今、彼は企業の貴重な人財となっている。
そんとく塾の教育は罪人を人財に変える学びのある所としなければならないという使命をあらためて認識した出来事だった。