自然派のあなたに送る、山・川・海に身を置く建築士が、家づくりで大切にしていること

最近、お寺の改修計画に携わることが増えてきました。
下見と勉強を兼ねて、日帰りで京都へ行き、大徳寺を訪れました。
大徳寺は、室町時代に開かれた禅寺で、
多くの塔頭が静かに佇む、京都でも特に落ち着いた空気を持つ場所です。
派手さはありませんが、長い年月を経てもなお、凛とした美しさが保たれています。
境内に入ると、街の気配がすっと遠のいていくのを感じます。
気持ちは自然と落ち着き、
視線や呼吸がゆっくりと整っていく。
京都という場所には、やはりそうした力があるのだと思います。
写真は大仙院の庭です。
縁に腰を下ろし、しばらく庭を眺めていました。
特別な説明がなくても、
ただ座って眺めているだけで、時間の流れが変わっていく。
何かを理解しようとしなくても、
その場に身を置くこと自体が心地よいと感じられました。
長い年月を経ても美しく保たれている建築には、
必ず人の手がきちんと入っています。
丁寧に使われ、守られ、手をかけられてきた証です。
そこには、建築そのものへの愛情を感じました。
初めて訪れた大徳寺でしたが、
この年になって訪れてよかったと素直に思える場所でした。
また季節を変えて、改めて歩いてみたいと思います。
私たちも、
時間が経つほどに愛着を持たれ、
大切に使われ続ける建築をつくっていきたい。
京都で過ごした一日から、そんな思いをあらためて感じました。



