「風のオフィス」 福岡県美しいまちづくり建築賞 大賞受賞
家づくりの相談でよく耳にするのが、
「夏が暑すぎて家の中にいてもつらい」
「冬はエアコンをつけても足元が冷える」
という声です。
もちろん設備の性能は年々向上していますが、
エアコンだけで室内環境を整える暮らしにはどうしても限界があります。
なぜなら、私たちが本当に“心地よい”と感じる瞬間には、
自然の力が深く関わっている気がするからです。
たとえば
・夏の日差しを落とす軒の深さ
・庭木の影がつくる涼しさ
・窓の配置による風の通り道
・冬のあたたかい日差しが差し込む南側の窓
こうした自然の働きがうまく作用する家は、
エアコンに頼りすぎなくても快適に過ごすことができます。
日々の暮らしの中で、
ふと「気持ちいいな」と感じることはありませんか？
木陰を吹き抜ける風、
朝日が部屋に差し込む瞬間、
雨の音が心地よく響く夜。
実はそれこそが、家づくりにおいて大切にしたい“自然からの贈り物”です。
建築の世界では、
これら自然の働きを活かして快適性をつくることを
「パッシブデザイン」と呼びます。
難しそうに聞こえますが、やることはとてもシンプルです。
・夏の暑さは外で遮る
・冬の暖かさは中に取り込む
・風は通り道をつくる
・自然の力を利用して換気する
・太陽の動きを読みながら窓や軒を考える
これらの積み重ねが、
家全体の“素直な心地よさ”をつくり出します。
私はこれまで、
落葉樹の木陰、すだれ、軒の深さ、窓の位置など、
小さな工夫を積み重ねながら、
自然と調和する設計を大切にしてきました。
自然の力を活かす家は、
設備だけに頼る暮らしとは違う、
やわらかい快適さがあります。
そして何より、
自然とともに生きる家は、
住む人の心を穏やかにしてくれます。
エアコンが悪いわけではありません。
必要な時にはしっかり助けてくれます。
ただ“エアコンだけ”に頼らなくても、
自然の力を上手に使えば、
もっと気持ちの良い暮らしができるのではないだろうか。
そんな家づくりに興味があれば、
ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう。
