運送業や住宅会社の経営改善や事業再生、現場での実務と償却前営業利益の話
数年前の顧問先の建設会社のお話である。
売り上げが落ち、利益も落ちている建設会社にコンサルタントとして指導に入った。
母体の建設会社が売り上げ10億円、子会社が2社あり1~2億円程度の完成工事高。
本体の会社の収益の改善はできたのだが、子会社が業績が回復しない。
子会社の社長さんが雇われ社長で、能力もないがやる気もなし。
社長と相談をして、売却もしくは閉鎖を検討していた。
メインバンク(MB)も賛成してくれて、売却先を協力をして探してくれた。
子会社と同じエリアの建設会社が購入の意向を示してくれた。
MBのM&A推進室のような部署が仲介に入ってくれた。
ちょっと不満だったのは、こういうケースではどっちが大切な顧客かで銀行の態度は変わってくる。
どっちみち赤字であったので、不満はあったが目をつぶることにして話を進めた。
まだ経営自己審査の技術者の雇用が3ヶ月間とか6ヶ月間とか言われていなかったので、
従業員は全員が解雇という形になってしまった。
つまり、会社の「のれん」だけをM&Aするという希望であった。
工事実績や会社としての業歴年数だけがあれば良いという購入先の希望であった。
取締役も全員を解任するように言われた。
それは問題があるのでは? そう思い推進室の窓際銀行員に進言をしたのだが・・・
先方さんの意向なので言うとおりにしてください、そう言われてしまった。
取締役を全員解雇すると、企業の継続性がないという判断で、
県によっては新規の入札参加者になってしまうのである。
その問題点を指摘をしたのだが、銀行が提携をしている丸投げしている、
東京のM&A専門の大手の会社のサラリーマンが大丈夫だと言ったようである。
こちらとして、好意的にアドバイスは送ったので、売買代金さえいただければ問題はない。
田舎の経営コンサルタントが何を知っているか? そんな感じで窓際族のオッサンに言われたので、
どうなっても知らんけれど・・・
結果はどうなったか?
新しい会社の社長さんが、変更届を持って土木事務所に行ったなら、
「役員が全員変わっているので変更ではなく新規の取り扱いですね」
そう言われたしまった。
購入先のオーナーは銀行に激怒。
推進室の部長と担当者は、取締役会で「責任を取れ!」と、ほぼ首の宣告。
私のところに駆け込んできて・・・
「どうにかしてくれ!」「お願いします。」「首になります。」
オイオイである、東京の大きなM&Aの会社に言ってくれよ・・・
売り主の社長さんに・・・
窓際BKマンが取締役を1名残してくださいと話に言ったらしいのだが、
当初社長が親戚の一人を取締役で残して給料を払ってもらえないかとお願いをした経緯があり、
当然に社長は今さら何を言いに来たんだと大激怒である。
銀行と売り主の社長さんの交渉に同席もしたので・・・
窓際銀行員がどれほど社長に偉そうに冷たく話をしたか知っているので、
こに状況はどうしようもないと思われた。
M&Aの会社のサラリーマンには・・・
「そんなアドバイスはしていない」
言った言わんの銀行員の逃げのような回答をされたらしい。
CMも流している、セミナーも多数開催している、仲介件数も多数、
銀行員さんが私の忠告より立派な会社のサラリーマンの話を信じるのは仕方もないが・・・
あまり、この会社の取締役や部長のセミナーの話が好きでないのは、
100に1つの成功事例やできそうもないような作り話のような事例が話されていることである。
いつも不思議に思うのは、この会社のセミナー講師は質問を受け付けないで壇上から降りるのである。
何年か前に建設会社の会社分割をしても経営事項審査を引き継げるとか、
事業譲渡をしても経営事項審査は引き継げるという話をセミナーでしていたので、
どうしても最後に質問をしようと思ったのだが、
この会社のセミナ講師はみんな質問タイムを取らずに帰っていくのである。
話がそれたが・・・
「首になる」「銀行にいられない」
そんな話ばっかり窓際銀行員のおっちゃんが言うので・・・
売り主の親戚の方を役員に残してあげるように説得をして、
少し高めの役員報酬を1年間いただいて解決をしたのである。
このおっちゃん、ほんまに常識知らずというか、空気が読めないというか、
役員報酬が高いとかサービスでなどと平気で言ったのには本当に驚いたり呆れたりしてしまった。
「それで、売り主の社長に嫌と言われたら・・・」
「あんた、首になったらわ!」
そこまで言ってあげたなら、やっと自分の置かれた立場が理解できた様子。
そんなドタバタがあったのだが・・・
なんとか無事にM&Aは解決できたのである。
売却代金を全額・・・
銀行が短期の手形貸し付けの回収に充てたのは・・・
本当に呆れてしまった。。。
会社というのは・・・
閉鎖する時に費用が発生するのであるが・・・
現場の経験のある再生実務家は閉鎖維持資金繰りを組むケースもある。
何を言いたいか?
本を読んだって、業法を隅から隅まで読んだって、セミナーを聞いたって、
現場で経験をした専門家に答えを聞くことが一番の正解なのである。
そのためには、人脈という専門家の財産が必要である。
大きな会社であったとしても、外との情報や接点がなければ、答えには間違いや限界が生じる。
何年か前の・・・
笑うに笑えない昔話でした。。。