運送業や住宅会社の経営改善や事業再生、現場での実務と償却前営業利益の話
ある再生途中の企業での話。
町では名のある先生の顧問先。
資金繰りも厳しいので年末にその先生が破産を勧めた。
何年も顧問をしていたのに、船が沈みそうになったら音信不通。
どうにもならずで、納得がいかず、私がセカンドオピニオン。
何もできなくなったのでフェードアウトしたのはいいが、
腹がたつのは適当なアドバイスのオンパレード。
銀行にリスケをしたら、どうなるのか?
そう社長さんが訊ねたら、
「リスケをしていても融資は受けられる。」
「工事担保があれば、ほぼ融資は受けられる。」
現場で再生業務を経験されている方なら理解ができるであろうけど、
そんな夢のような話をクライアントさんに言わないでほしいと思うでしょう。
どうも本やセミナーの受け売りの様子。
リスケでも融資が受けられたケースが、ごくごくまれにはあります。
これならアドバイスとして聞いていられるが・・・
自分で現場で銀行交渉して、リスケ後の融資をうけたのならいいが、
自分が困窮企業から逃げ出した先生が立派にアドバイスをする内容ではない。
こんなアドバイスなら、
受取手形と支払手形の現状通りの割引き枠をお願いします。
この方のアドバイスがよっぽど現実的な話である。
2億や3億円程度の建設会社で・・・
リスケ後の工事担保融資を受けることも簡単なことではない。
20億や30億の地元の有力企業が融資を受けるのではない。
経済合理性がないのである。
金融機関のルールで、融資制限枠のようなものがある。
たとえば、支店が管轄する地域の人口が2万人程度であると、
20億クラスの建設会社が倒産すると、支店内の融資の総枠が規制になる場合がある。
だから、大きな建設会社の倒産は阻止をしたいという意向がある。
この話は3年も前の話なので、融資の規制枠が残っているかどうかは確認できていない。
どこの社長も同じである。
リスケでも融資が受けられる、そんないい話を聞いたら、いい話を信じたいものである。
どうして?
確認もしていない、自分が体験もしていない、
そんな話を堂々とクライアントさんに伝えるのであろうか?
人の人生と生命と財産です。
どうしてそんないい加減なアドバイスを自信満々にできるのか?
私には理解することが不可能です。
診断士の先生、あなたが弁護士さんのところで破産をしなさいと指導した会社は、
厳しい状況ではありますが元気に前向きに頑張っています。
あなたは街の名のある先生です。
しかし、一番頼りにしたい時に頼れなかった先生には、
さすがに社長さんも家族もガッカリしているみたいです。
診断士の先生にも税理士の先生にも立派な先生は多くいる。
アドバイザーや相談員でなく、実践の現場で再生に取り組んでいる再生実務家の先生もたくさんいる。
机上の空論は悲しい。
本やセミナーの夢のような話には、現実に合わない話も多い。
とにかく現場の経験が大切である。
それでも限界はある。
分からなければ、知らなければ、人脈から答えを引きだす。
そうすれば間違いなアドバイスはなくなっていく。
経営コンサルタントも中小企業診断士も、新しい取り組みにが好きなんでしょうか?
結果の出ていない、自分でも実践したことのない、
大学病院の臨床実験のような話が・・・
私は町医者でいいと思っている。
見立てと目利きはだれにも負けない、そんな医者でありたい。
冗談のような話だが、この再生案件が、
この町のどこかで先生の成功事例?みたいに講演で聞くような気がするのだが・・・
縁があった話である。
どうなっても最後までつきあう。
これが私の信念。
沈みそうな船から逃げたりはしない。
溺れそうな人から逃げたりはしない。
このクライアントさんは、私がなんとかする。
そう心に誓って一緒に泥舟を漕いで行こうと思っています。
なんとかしてみせる。。。
どの道に進もうとも・・・・・