運送業や住宅会社の経営改善や事業再生、現場での実務と償却前営業利益の話
モラトリアム法が延長される様子。
書店にはたくさん並ぶ「経営改善計画書」のマニュアル本。
先日もあった相談。
リスケというか返済の減額をお願いして何年か経過する中小企業の社長さん。
力なく肩を落とした中小企業の社長さん。
知り合いの税理士さんからの依頼である。
先生のHPからの再生相談である。
一緒に話を聞くことに・・・
県外から海を渡って来られたのである。
平日は仕事あるので日曜日に面会をしたいとのこと・・・
聞けば何もかもが残念なめぐり合わせとなっていた。
メインバンクは・・・
・メインバンクが県外銀行であり、フル返済ができなくなってからは、貸しはがし&貸し渋り。
・体力もあり健全な金融機関なので、特に回収には厳しい。
・メインでありながら、手形の一枚の割引きも応じてくれない。(地元のサブの信金が対応)
顧問税理士も・・・
・税務署のOBのおじいちゃん税理士。
・担当者は2~3年でころころ替わる。
・経営の相談は全く答えてくれない。
・会うのは年に一回の決算報告のみ。
・30過ぎても試験に受からない息子が事務所にいる。
リスケの書類を作成していただいた診断士さんは・・・
・どこかの本屋にならんでいるような計画書。
(それなら銀行も文句は言わないでしょうねという内容)
・費用はとってもリーズナブル。
・モラトリアム法の有効な利用ができていない計画書。
・3年目からは売り上げの増加。
・キャッシュフロー全額を返済の計画書。
・減価償却費も全額を返済の計画書。
社長さんは・・・
・煩わしい銀行からの呼び出しが無くなったので一安心。
・来季の返済金額を見て絶望感。
・絶対に約束通りに払えないことへの恐怖感。
・夜も眠れない。
・メイン銀行も聞いてはくれない。
相談を受けて、決算書を見て・・・
一緒に相談を聞いた税理士さんと唖然である。
何も言わない診断士と顧問税理士に・・・
借りられないのに・・・
手形も割り引いてくれないのに・・・
修繕費や人員や給与を削って返済をすることに・・・
何か意味があるんでしょうか???
取引先にではない、銀行に言われないためだけの黒字決算。
減価償却もフル償却で、その数字がフル返済に充てられているのである。
顧問税理士さんも中小企業診断士の先生も何をやっていたのか? それも2年も3年も・・・
現場を経営者と実戦で行動された先生なら理解をしていただけると思うが・・・
投資キャッシュフローも減価償却費も必要な設備のためのお金である。企業が継続をする限り、必ず必要になるキャッシュである。
フル償却をして、ギリギリ経常利益をプラスにして、決算書の化粧で・・・
それを原資にリスケ後の元金返済の数字を確定をさせて・・・
中小企業にとって何かいい結果が生まれるのであろうか???
ただ毎年、経営が苦しくなっていっているのが現状。。。
私が一緒に仕事をするプロのパートナーには・・・
こんな顧問税理士や経営改善計画書を書く人はいないのだが・・・
いつも言っている、これが現場の経験があるかないかである。
机上の空論の経営コンサルタントや中小企業診断士や税理士の生んだ悲劇である。
2年も3年も書いた経営改善計画書を手直しをするのは簡単ではない。
そのことを社長さん夫婦には伝えたが・・・
社長も涙目で・・・
「銀行さんから逃れたい、そう思って逃げていた私の責任です。」
「仕事に専念できるならと思い、その場しのぎの計画書を提出しました。」
「数字が合うようにと、診断士の先生が3年目から売り上げを上げて書いたのも、できないと思いつつも・・・」
社長さんも自社の顧問税理士以外の税理士さんと話をしたのは初めての様子で、
「うちの先生とは全く違います。」
「決算期を目途に顧問税理士になっていただけませんか?」
そんなお願いを・・・
さてさて・・・
これからどうやっていくか?
税理士先生と作戦を練るのですが・・・
銀行にもよるのだが・・・
県外の銀行がメインバンクの場合の回収姿勢になった時は厄介である。
地元のように田舎の風評リスクが金融機関にないから、県外での回収はかなり強硬である。
同じ銀行でもまったく違う。
地銀の県内での顔と県外での顔は・・・
難しい案件である。
しかし、社長に前向きな気持ちがある。
時間がかかりそうな案件である。
このパターンの相談事例を経験された方なら、ご理解はいただけるとは思うが・・・
話せばわかる・・・
そう簡単ではない・・・