連載第9回 取引先を大事にする

城戸景子

城戸景子

テーマ:経営者のためのビジネスマナー

経営者のためのビジネスマナー第9回は、取引先を大事にするというマナーです。

ビジネスは言うまでもなく、会社対会社の取り引きにより、

お互いが利益を上げることが最も望ましい形です。

金銭の出入りだけに着目すると、売る方のみに収入があり、買う方は支出となります。

しかしながら買う方にとっても当然、目に見えない利益や

今後の利益が見込まれるからこそ、そこにビジネスの取り引きが成立するのです。

経営者にとって必要なことは、目先の利益をもたらしてくれる相手だけでなく、

業者も含めたすべての取引先に誠実な対応をするためのビジネスマナーです。

経営者の取引先への態度は、そのまま会社の姿勢として周囲に判断されるからこそ、

気を抜いてはいけません。

この回では、取引先とのお付き合いで経営者が特に気を使うべき点についてお伝えします。
                                    研修・セミナーの概要

来客をお迎えする場合

会社には日々多くの方々が訪問されます。

その中でも経営者であるあなたに会いに来られる方は、いわば特別なお客様と言えます。

そのようなお客様が訪問される際、自社の社員に来客の予定を知らせていますか?

来客のアポイントメントは、受付や訪問客を最初に応対する社員にあらかじめ伝えておきましょう。

①どこの誰が来るのか
②何時に来るのか
③用件は何か
④どこに通すのか
⑤何時にお帰りになる予定か

この5点を伝えておくことで、来客応対がスムーズになり、より良い接客ができます。

さらに最初に応対する社員には、

「○○様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。」とお迎えすることを徹底させて

下さい。

「お待ちしておりました」は、魔法のひと言です。

この言葉が出るかどうかで、会社の格が大きく違ってきます。

訪問相手本人ではない、最初に応対してくれる社員が「お待ちしておりました」と

応対することは、その会社内の連絡がきちんと機能していることを表します。

さらに来客は、自分を丁重に迎えてくれる態度に、社員ひとりひとりにまで

マナー教育が行き届いていることを感じとります。

このような小さな心配りの積み重ねが、会社の格を作り上げるのです。

もちろん経営者自身も、お客様が通された部屋に入る際は、「お待ちしておりました」と

ご挨拶しましょう。

又、お見送りする際も丁重に送り出します。

自社ビルの場合は1階出口まで

集合オフィスビルの場合は、エレベーター前まで

が原則です。

お帰りになったらサッサと背中を向けるのではなく、

ドアが閉まるタイミングでお辞儀をし、2~3秒おいて頭を上げるようにします。

姿が見えなくなるまでその場に立つ、余韻が残るお見送りは良い印象を与えます。
                                    研修・セミナーの概要

訪問する場合

経営者自身が取引先を訪問する際は、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。

訪問時の手順は、一般社員と同様です。

①事前にアポイントを取る
②先方までの交通経路、所要時間を確認する。
③持参する資料を準備する。
④同行者がいる場合は、打ち合わせをする。

経営者が自ら取引先を訪問する多くの場合は、社員に要請されるケースがほとんどです。

■ふだん営業が訪問しているが、成約に至るための大きな後押しが必要な場合、
■何らかのトラブルが発生して、謝罪に伺う場合、
■社内での変更事項をお伝えするご挨拶の場合、等々が考えられます。

いずれにせよ、先方は経営者が来るということで、良いことであれ悪いことであれ、

通常よりも大きな進展を期待しています。

訪問先と自社とのこれまでの取り引きの経緯について担当者から十分な説明を聞き、

考えられる対応を入念に準備して訪問するようにしましょう。
                                    研修・セミナーの概要                     

メールのマナー

昨今ではインターネットの普及により、従来のコミュニケーション手段である電話、Fax、

手紙等に加え、メールの利用が急増しています。メールはリアルタイムで送信することが

できるため、非常に便利なツールです。しかし受け取る側がアクセスしなければ読んでもらえないというデメリットもあります。急ぎの用件は電話でお知らせする、

あるいは日常的にメールを使用しているかどうかをあらかじめ確認するなどの配慮が

必要です。

【メール使用時のポイント】
受け取った相手が読みやすいことを考えて作成します。

□文頭には、社名、部署名、宛名を入れる
□件名は具体的に書く
□1行に30字程度を目安に改行する
□3~5行で1行あける
□文末には、署名を入れる

この5点は最低限守るべきメールのマナーですが、

それ以上に経営者にとって大事なことは、頂いたメールには少なくとも24時間以内には

返信をすることです。取引先からのメールに対する返信が遅れる、あるいは返信をしない

となれば業務が滞りますし、何より相手を軽視していると思われても仕方がありません。

便利なツールなのですから、その便利さを利用して“さっさと返信”するようにしましょう。
                                    研修・セミナーの概要 
                    

手紙のマナー

手紙はメールに比べて、格式の高いコミュニケーションツールです。

礼儀を重んじる種類の文書や、普通よりも特別な気持ちを表したい場合などに

使用すると効果的です。

【手紙の格付け】
パソコン作成 < 自筆
横書き < 縦書き
はがき < 封書
宛名ラベル < 手書き

季節や業務上の挨拶、各種ご案内、お見舞い状、お祝い状などの社交的な文書について、

すべて手書きにするのは難しくても、せめて「一言添える」あるいは

「サインは自筆で入れる」などの工夫をして、相手への心遣いを表すようにしましょう。
                                    研修・セミナーの概要

接待時のマナー

さて取引先に感謝を表す際、又、これからの取り引きをお願いしたい際、

ビジネスの世界には“接待“という手段があります。

接待はなごやかな雰囲気の中、飲食を共にすることで、

相手との距離をぐっと近づける効果的な方法です。

会議室や応接室ではうかがい知ることのできなかった相手の人となりを知り、

又逆に自分の魅力をアピールできるチャンスと考えて、有効に活用しましょう。

その為にはしっかりとした事前準備が必要です。

【接待の準備ポイント】
□好みのお店をリサーチ
□予算の確認
□人数・メンバーの確認
□お店の予約、メニューの打ち合わせ
□お店までの交通手段の確認
□お土産の手配
□席次の確認

相手に喜んでいただくために、徹底的に相手の立場で考えて臨むことが大事です。

社内の人間を伴っていくのであれば、腰の軽いよく気の付く人材を選んで同行すると

いいでしょう。又、くれぐれも自分が飲み過ぎて酔っぱらってしまうことのないよう注意

して下さい。

接待の席ではビジネスの話をしてはいけないと教えるマナー本もありますが、

そうとは言えません。むしろ適度に現在進行形のビジネスの話をはさむことを

お勧めします。会議室では進まなかった話が、お酒の席でトントン拍子に進むことは

よくあるケースです。

ビジネスの話をしてはいけないのであれば、それはただの飲み会です。

人間は何かしてもらったら、即座にお返しをしたいと考えるもの。

この好機を捉え、活かすことも重要です。

ただし相手の反応を見ながら、しつこくしないようにしましょう。

過ぎたるは及ばざるがごとし、お気を付けください。


さて次回は、「社外での振る舞い方」として、食事のマナー、交流会でのマナーなどについて

お伝えします。

どうぞお楽しみに。


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最後までコラムをお読み下さいまして、ありがとうございました。


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(社)ジャパン・パーソナル・ブランディング協会認定イメージコンサルタント、ビジネスマナー講師
ミューズ・ブランディング・アカデミー(株)千葉校 校長

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専門家

城戸景子(マナー講師)

STUDIO STELLA

ソフトウエア会社でトップ営業ウーマンとして活躍。その実績に裏打ちされた「見た目づくり」、「ビジネスマナー」は、ビジネスツールとして翌日から仕事に生かせる即効性が強み。

城戸景子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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