12月ライフハック LIFEをランクアップさせる旅
東京ビックサイトで開催されている国際福祉機器展&フォーラムに行ってきました。
(2023年9月27日から29日まで開催)
福祉や介護に必要な機器や設備、システムなど幅広く紹介している展示会です。
本記事では住宅における介護福祉器具の役割や、今後どのような役割を求められるかを考察していきます。
日ごろから結構マニアックに、重箱の隅をつつくように、暮らし方を観察し考察する私ですが、会場に行ったからこそ気づけたことが多々ありました。
そんな盲点のような部分を中心に綴っていくので、この文章を読んで下さる方の「転ばぬ先の杖」となったら嬉しいです。
1.介護、福祉関連のメーカーさんの取り組み
基本的な機能はかなり充実してきていて、より細部を洗練されている段階のような印象でした。
2つ印象に残った取り組みを挙げると
・よりコスト面で利用しやすい技術開発
・自分でできる工夫を施した器具
介護保険を利用した介護リフォームは上限20万円で、それ以上になるケースも少なくないと言います。
20万円で収めるための商品開発が涙ぐましかったです。
部材や手間を減らす工夫には、様々な技術が要るようです。
(全く思いも寄りませんでした)
また介護福祉機具を使えば自分でできる。
そのための商品開発も素晴らしいと感じました。
(この意味については後述)
2.これから求められる介護・福祉器具を考察
生き甲斐や心身の機能の維持のために、必要と感じた2つの要素があります。
・介護福祉器具のデザインの大切さ
・「自分でできること」を奪わない大切さ
介護福祉器具のデザインの役割
年齢を重ねるとどうしても出来ないことが増えていくものです。
また出来たとしても、何でもなかったことが大きな負担に感じたり、今までは問題なくできたことが、危険になる場面も出て来るでしょう。
そうなると身近な人に止められたり、自分自身でも諦めるケースは珍しくないと思います。
本人は出来ないことが増える度、寂しかったり、落ち込んだり、自信を無くすこともあるはず。
でもちょっとした工夫があると「出来ない」を阻止することも、「何とかできる」が増えたりもする。
これを車いすなどの器具を製造するメーカーさんのブースで気づかされました。
ベッドから車いすに移動したり、トイレでの排泄。
この行為が「自分でやりやすい環境や状態」になっていたら、自分でやりたいと思う人は少なくないでしょう。
例えば、ベッドから車いすに自分で移動しようと思ったら、車いすの手がけ部分がぶつかり車いすに乗り込めない。
でも車輪が固定されて動かない構造になっていて、手がけを倒すことが出来て、ベッドと車いすがフラットになっていたら、自分1人でお尻を少しずつ動かして、体全体をベッドから車いすに移動できる人も増えるでしょう。
ベッドから車いすに移動する一番の壁が、立ち上がったり、車いすの手すりを跨ぐ(またぐ)ことだとしたら、それをしなくても乗り移れる器具の仕様にする。そんなイメージです。
立ち上がったり座ったりという、苦手な動作をサポートする機能がトイレに備わっていたら、介助がなくても1人でトイレを済ませられる方もいらっしゃるはずです。
「自分でできる」は、自信や喜びを齎すキッカケになる!!
これを展示会場で痛感しました。
1つの小さな「できる」が、「別のこともやってみよう」とプラスの連鎖の一歩目になる。
そのための工夫は、使い手を観察して、思いやり、確かな技術の賜物だと感じました。
日常茶飯事の行為こそ、自分でやりつづけたいものです。
「自分でできなくなってしまった」or「自分でできる」の差は計り知れませんので。
あえて、全部やってあげない。
本人が自分でする余地を残すことで自尊心や、気力を維持したり取り戻せるとしたら、とても大きな意義があるでしょう。
3.幸せな人生100年時代のために求められる要素
今後、益々高齢者の割合が増えるということは、介護・福祉が今よりももっと身近になり、必要性が増すということ。
まして若者の人口が減っていて、今まで以上に機具やシステムに頼り、日常の中に入ってくるのは確実です。
便利なこれらのものに頼ることで、介護する側とされる側の心と体の負担を減らすことは大きな意味があります。
特に物理的、肉体的な負担を減らすのに機具やシステムは欠かせないでしょう。
ケアする側の心身が疲れ切っていては、そのストレスのしわ寄せはケアされる側に来てしまう。
それによりケアされる側がイライラすると、そのストレスは今度はケアする側に戻って来ます。
まるでブーメランみたいですよね…
そう思うと心身の負担は、マイナスのループの始まりに感じませんか?
だからまずは機具やシステムでケアする側の心身の負担を減らす。
温存したエネルギーがあると、対応もやさしく穏やかになりますよね。
これは私の実体験でも痛感しています。
以前、身内がうつ病で食事が全く出来なくなり、心身共に憔悴して一時期、介護状態になりました。
私のストレス度合いが、本人の心身の状態にダイレクトに影響したのを覚えています。
この体験から、ケアする側のストレスをいかに減らすかはとても大切だと実感です。
これは現時点の私の考えだけれど、人だから出来ることを見極め、そこにケアする人のマンパワーを投入することが大切な気がしています。
または絶対的に器具の力がメインになる力仕事や、継続的な見守りなどは、人よりも器具・設備や仕組みの方が得意です。
でもそんな中に人が加わることで、無機質で味気なさが中和され、温かみや心地良さが付加されたりします。
人が介入することで、楽しさ、心地良さ、前向きさなど精神的なプラスの作用を起こすことができ、この部分は人以外では限界があるでしょう。
ケアする側もされる側も、負担が減る基本的な機能は必須。
その上で、自分でできることを減らさないための工夫がされていたり、美しい色や形で使っていて気持ちの良い器具が、心豊かな100年時代に求められているように感じて帰ってきました。
4.全ての人に必要なこと
今現在どんなに若いとしても、生物である以上、誰しも老いる。
もちろん、老いのスピードや程度は人それぞれだけど、今と同じ心と体の状態のまま年齢を重ねることはありえないですよね。
まずはこれを私自身、肝に銘じようと思っているところです。
未来の自分の健康状態や充足感は、今の暮らしぶりや生活習慣で大きく変わるはずです。
だから今も未来も、より良くなるように、今のうちから良いルーティンに変えていこうと思っています。
加えて、年齢を重ねると今と同じスピードと能力では動けなくもなります。
体の機能が低下したり変化することを見越して、住環境を整えておく大切さも痛感しています。
予め準備していれば、いざ必要になった時の負担(コスト・手間等)は小さくて済みます。
適切な対応をすれば、体に大きな負担や危険があるからと、自分でやり続けることを諦めなくても済みます。
繰り返しになりますが、「自分でできる」は体や心の機能を維持するための力になり、また人生後半の充実度にも繋がります。
という訳で、私にはまだ早い!と感じている段階から、年齢を重ねた自分がより良く居られる準備をしておくことをおススメします。
具体的な準備は、次の記事で触れますね。
展示会には、車椅子の方の来場も多く目につき、この光景は私には希望にも思えました。
ハンディキャップの有無に関係なく、誰もが行きたい所に行って、色んな体験ができる。
そんな未来になったら、どんなに素晴らしいことでしょう。
そのためにも、介護や福祉の器具や仕組みなどの「人以外」と、色んな立場の「人」の協創、共創が欠かせなそうです。