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ストライドを生かしてピッチを改善、中学生短距離の指導事例

新山公平

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「足を速く動かそうとすると、走りが小さくなってしまう」

短距離のタイムを縮めたい選手やその保護者の方から、私がよくいただくご相談のひとつです。速く走るには足を速く回せばいい、と考えがちですが、実はそれだけではうまくいかないことが多いのです。

私は青森市で「ユナイテッドアスリートクラブ青森(UACA)」を運営し、幼児から社会人まで200人以上のメンバーに陸上の指導を行っています。今回は、私が普段のパーソナル指導で大切にしている「その選手の武器を残したまま、足りない要素を加えていく」という考え方を、実際に取り組んだケースをもとにお話しします。

短距離で速くなるために何を優先すべきか整理したい方の参考になればと思います。

ピッチを高めるとストライドが消える、という悩み

もともと一歩のストライドが大きく、スピードに乗ったときの伸びのある走りを武器にしている選手がいました。小学6年生のときの100mの自己ベストは14秒77。中学1年生になったシーズンの初戦では、14秒25まで自己ベストを更新していました。

この選手がさらに記録を伸ばしていくには、走りのピッチ(脚を回転させる速さ)を高めていく必要がありました。ピッチとは、一定の時間にどれだけ多くの歩数を刻めるかを表すもので、ストライド(一歩の大きさ)と並んでスピードを決める二つの要素のひとつです。

ところが、ただ足を速く動かそうとすると、動きが小さくなったり、本人がもともと持っているストライドの良さまで失われてしまう可能性があります。大きく走る良さを残しながら、接地した後の脚の切り返しや、腕振りとの連動を改善すること。これがこの選手の課題でした。

記録を伸ばすために、何を優先して改善すべきか。単純に走る本数を増やすだけでは、こうした課題は解決しません。私はこの選手については、本人の特徴に合った技術練習が必要だと考えました。そこで、すでに持っている武器をどう生かすかという視点で、優先順位を整理することから始めたのです。

武器を消さずに足りない要素を加える指導

私がこのケースで最初に決めたのは、「この選手のストライドの大きさを消さない」ということです。

ピッチを高めると聞くと、歩幅を小さくして細かく走るイメージを持たれやすいのですが、単純に歩数を増やせばよいわけではありません。私が意識したのは、接地してから次の一歩へ移るまでの時間を短くし、ストライドを保ったままリズムを高めること。大きさはそのままに、切り返しだけを速くしていくイメージです。

具体的には、接地してから素早く脚を切り返す動き、腕振りと脚の動きを連動させる練習、スタートから加速していく局面のリズムづくり、短い距離で動きを確認したうえでの実際のスプリント、そして横からの動画撮影による走りの確認、といった内容を段階的に行いました。

いきなり全力で走らせるのではなく、まずはその場やゆっくりとした動きで確認し、少しずつスピードを高めていく。この順番を守ることが、せっかくの武器を崩さないために大切だと考えています。

動画で自分の走りを理解してもらう

もうひとつ私が大切にしているのが、動画を活用しながら選手ごとの特徴に合わせて課題を整理することです。指導者が一方的に「こうしなさい」と答えを伝えるだけでは、選手の身につき方が違ってきます。

この選手も、横から撮影した動画と実際の動きを照らし合わせることで、「ただ足を速く動かすこと」と「接地後に素早く脚を切り返すこと」の違いを、自分の体の感覚として確認していきました。

本人が動きの違いを感じ、自分の走りとして理解していく。その過程を一緒に踏むことを私は重視しています。

また、一度に多くのことを伝えすぎないことも心がけました。その日の指導で優先する課題を絞り込み、ひとつずつ確実に積み上げていく。情報を詰め込みすぎると、かえって動きが固くなってしまうからです。

私のクラブにはもともと在籍している選手も多く、普段の走りや成長の過程を継続的に見ています。だからこそ、その日その日の動画だけでなく、これまでの積み重ねと照らし合わせながら、今この選手に何が必要かを判断できます。良くない部分だけを直すのではなく、すでに持っている武器を生かしながら次に必要な要素を加えていく。私が指導で一番大切にしているのは、この姿勢です。

速く走る方法は一つではない

この指導を通して、練習の後半にはスタートから加速していく際のリズムにも変化が見られ、今後継続して取り組むべき課題が明確になりました。初戦で記録した14秒25は、あくまで成長の途中です。現時点での走りを見る限り、これからの成長の過程で通過していく一つの段階だと私は考えています。

ここでお伝えしたいのは、走りの課題を改善するときに、選手がすでに持っている良さまで変える必要はないということです。ストライドが大きい選手には、そのストライドを生かす方法があります。ピッチが高い選手には、そのリズムを生かす方法があります。

大切なのは、全員を同じ走りに当てはめないことです。その選手の武器を確認したうえで、足りない要素を加えていくこと。速く走るための方法は一つではないのです。現在の走りを正しく確認し、何を残して何を改善するのかを整理することが、次の成長につながると考えています。

まとめ

速く走る方法は一つではありません。その選手がすでに持っている武器を見極め、何を残して何を加えるのかを整理すること。それが、無理なく次の一歩へ進むための近道だと私は考えています。

・タイムを縮めたいが何を改善すべきか整理したい方
・自分の走りの強みを生かした練習に取り組みたい方
・お子さんの走り方を専門家に見てもらいたい方


このような方は、お気軽にご相談ください。UACAの活動やコースの詳細は、ユナイテッドアスリートクラブ青森の公式ホームページ(https://uaca2014.com/)をご覧ください。

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新山公平
専門家

新山公平(スポーツクラブ経営、陸上コーチ)

ユナイテッドアスリートクラブ青森(UACA)

走り方を身に付けたい、陸上選手を目指したい、運動不足を解消したいなど、それぞれの要望や現在のレベルに合わせた指導を実施。楽しみながら学んでいける指導を心掛ける。

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