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久保隆明

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久保隆明(くぼたかあき) / 司法書士

司法書士法人わかば法務事務所

コラム

債権回収会社からの手紙にはご注意を

2018年9月12日 公開 / 2020年11月26日更新

テーマ:債務整理

コラムカテゴリ:法律関連

最近こんな相談が増えています。少し長文ですが、お付き合い下さい。

☆相談内容☆
突然自宅に「督促状」が届いた。差出人は株式会社〇〇債権回収。
よくよく考えてみると、それは10年以上前に事情があって支払うことができなくなり、長期間そのままになっていた消費者金融からの借金であることを思い出しました。この10年間全く連絡も来なかったし、手紙も来なかった。そしたら、今回債権回収会社からこの手紙を受けとりました。支払わなければならないのでしょうか?---終わり

「消滅時効」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
AさんがBさんに10万円を貸したとします。1年後に一括で全額返済するという約束でした。しかしながら、約束の日を過ぎても返済はありませんでした。それから15年後、Aさんは街でばったりBさんに出くわしました。AさんはBさんに10万円を支払うように請求しましたが、Bさんは「そんなの時効だから支払わない」と言いました。AさんはBさんから10万円を返してもらえないのでしょうか?

答えは「返してもらえない」です。
AさんはBさんに対して「お金を返してもらえる」という「債権」を有していますが、その債権は10年間行使しないと時効により消滅してしまいます。ただ、Bさんが本当にお金がないためAさんが10万円を返してもらえないのに、10年経つと権利が消えてなくなってしまうというのではAさんがかわいそうです。

そこで法律は、①Bさんを相手に裁判をする、②BさんがAさんに対して借金があることを認める、③BさんがAさんに対して一部返済するということがあれば、時効の進行がリセットされ、その時からまた10年間がスタートします。これを「時効の中断」といいます。個人間のお金の貸し借りによる債権の時効は10年ですが、一方又は双方が商人の場合(営業としてお金を貸している場合)には5年と短縮されています。

さて、今回の相談ですが、お金を借りて返済をしていなかった期間が10年以上ということですし、まして相手は消費者金融(商人)ですから、時効期間はさらに短く5年となります。つまり、この方は相手方に対して消滅時効を主張(援用)すれば、その借金は返済する必要はありません。

なかには督促状に書かれている連絡先に電話をして、借金のあることを認め、分割返済の約束を口頭でしてしまってから相談に来る方もいます。このような場合は、先に説明したとおり、時効の中断事由に該当するので、たとえその時が5年以上経過していた時点だとしても、借金のあることを認めた時からまた時効(5年)がスタートしてしまいます。

債権回収会社の中にはそのような消滅時効が完成した大量の不良債権を安値で買取り、督促状を送付し、消滅時効が完成していることには触れず借金の存在を認めさせ、分割払いの約束を取り付けるケースもあると聞きます。

借金が存在することはまぎれもない事実ですから、消滅時効を援用することが正解というわけではなく、借金を返済するという選択をすることも当然あり得ます。

ただ、借金の存在を認めさせた後は消滅時効の援用をするという選択ができなくなります。債権回収会社からの督促状を受けとられた場合には、その会社には電話をせずに、まずはお近くの司法書士、弁護士に一度相談してから、その後の方針を決められた方がよいと思います。

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