SDGs12について
先日(11月7日)、JIMTOF2024(11月5日~11月10日の6日間、東京ビックサイトにて開催)に参加したので、その状況についてコメントします。
展示品の中で、生産技術コンサルタントとして、また、現在実施しているテクニカルアドバイザーの目的に対し、参考となりそうなものについて数例をピックアップして列挙します。(順不同)
(内容的には、工作機械メーカ関係というよりは、FSW関連、AM関連、大学発信の研究テーマのものに偏った形になりました。)
①力センサーを印刷可能な3Dプリンタ
光ファイバー式ひずみゲージ(回折格子(ひずみ測定部)付き光ファイバー)を3Dプリンタで印刷し、様々な形状のひずみゲージを積層造形する技術。従来は不可能であった複雑形状部分でのひずみ測定が可能となるもの。
②FSW中の温度、負荷計測
FSWツール内部に熱電対を挿入し、ツールホルダーに電気抵抗ひずみゲージをせっちしたもの。これにより、接合中の温度、力データをリアルタイムに表示し、記録可能としている。最適条件設定やモニタリング機能として活用可能と思われる。
③回転3自由度球状歯車
球状歯車と鞍状歯車のかみ合いにより回転3自由度を実現させた伝達機構を可能としたもの。ロボットアーム等、高耐荷重な駆動機構に適しているとのこと。バックラッシュは1°程度とのことで、伝達精度は不明。
④インライン非接触膜厚測定器
塗装工程での乾いていない面での膜厚測定をかのうにするという目的で、渦電流式変位計(金属素地までの距離測定)とレーザー変位計(塗面までの距離測定)を使用して、同時に同一ポイントで計測可能としたもの。
⑤仮想関節・軌跡制御・高精度ロボット加工
産業用ロボットによる切削加工の高精度化のために(例えば航空機部品など工作機械での加工ができないものなど)、仮想関節を考慮した新しい静剛性モデルに基づく軌跡制御法を考案(切削力による工具変位量を算出し、補正軌跡を導出)
⑥抵抗溶接によるAM(シーム溶接)
シーム溶接など抵抗溶接を活用したAM(積層造形)技術、一見、造形スピードや、複雑形状には不向きと思われるが、予想外に問題ないとのこと。加工後の材料硬度、後加工の取り代等有利な点も多いということであった。
⑦SSW(同期攪拌接合)
FSWの進化したもの、同期攪拌接合(Synchronized Stir Welding)は、接合ツール先端がツールの回転方向・垂直方向双方に微小な振動を伴う駆動をしており、そのため被接合材料が要求する動きに対して、その材料が求める攪拌されるべき方向・スピードにツールが同期・攪拌することで、これまでにはない接合を可能とするもの。
⑧大規模温度データ活用した熱変形補正
工作機械の高精度加工における位置決め誤差の7割は、熱変形によるものであることから、IoTセンサー情報に基づく工作機械の熱変形補正を試みたもの。300点以上の多点温度データとFEMを用いた熱変位推定等により、工作機械の温度感受性を明らかにしていくもの。