経営承継で迷わないために。特性が解く後継者と創業者の深層
「なぜ社員が動かないのか」—その原因は特性の不一致にある
「いくら指示しても社員が自発的に動かない」「コミュニケーションがうまくとれずチームがバラバラだ」「せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまう」—そんな悩みを抱える経営者や管理職の方は、決して珍しくありません。こうした問題を「本人のやる気の問題」や「管理職の指導力不足」と片づけてしまうことが多いですが、私はそうは考えていません。
多くの組織課題の根本には、「業務機能の偏り」と「社員の特性とのミスマッチ」があります。組織は業務機能の連続で成り立っており、その機能に不具合が生じているとき、課題が次々と噴出します。誰かが得意なことを、苦手な人に無理に押しつけ続ければ、不満が蓄積し、職場の空気は重くなる一方です。逆に、その人の特性に合った仕事を任せれば、「やらされている仕事」が「やりたい仕事」に変わる瞬間が訪れます。
製薬・美容・飲食・建築・製造など、業界や企業規模を問わず多くの組織と向き合ってきた私が確信しているのは、「社員は変わる」ということです。ただし、それには正しいアプローチが必要です。私が提唱する「特性マネジメント」は、まさにその変化を仕組みとして実現するための経営コンサルティング手法です。組織が止まっているとき、問題は「人材の質」ではなく「人材の配置と理解の仕方」にあることがほとんどです。
特性を知ることは、人を使うためではなく、一人ひとりが持つ固有の価値を最大限に発揮させるためです。「全員がオンリーワンの価値を持っている」という前提に立つことで、組織の見方が根本から変わります。この視点の転換こそが、特性マネジメントの出発点です。
砂場遊びの子どもたちが教えてくれた「特性」という視点
特性マネジメントの着想を得たのは、意外にも休日の公園でのことでした。息子が砂場遊びに夢中になっている様子を眺めていたとき、周囲の子どもたちがそれぞれ全く違う形で熱中していることに気づきました。ある子は砂の形を丁寧に整えることに集中し、別の子はとにかくたくさんの量を作ることに夢中になっている。同じ「砂場遊び」という場にいながら、夢中になる理由が一人ひとり違うのです。「この違いこそが、その人らしさなのではないか」—直感的にそう感じた瞬間でした。
自分自身の歩みを振り返っても、その実感は裏づけられていました。半導体メーカーのエンジニアとして働いた時期、アパレル上場企業でマーケティングに携わった時期、そして食品商社として独立した時期、それぞれに「この仕事は自分に合っている」という感覚と「どこかしっくりこない」という感覚がありました。独立後、心身のバランスを崩した時期に心理カウンセリングを受けたことが、心理学と「特性」という概念への関心を深めるきっかけになりました。
「成功や失敗を繰り返す中で気づいたのは、自分の特性に合わないことは続かないということ」—この確信が、特性マネジメントの原点です。アメリカでは経営者に心理カウンセラーがサポートすることが一般的だと知ったこともあり、心理学の視点を経営コンサルティングに取り入れることを決意しました。個人の特性パターンを見極め、業務とマッチングさせる。これが私の手法の核心です。
特性は本人が自覚してこそ意味を持ちます。グループワークを通じて自分の特性を言語化できたとき、多くの参加者が「なぜ自分はこの仕事に惹かれるのか」「なぜあの仕事は続かなかったのか」が腑に落ちる体験をします。この自己理解の瞬間こそが主体性の芽生えにつながり、会社から求められるからではなく自分がやりたいから動く、という本質的な変化を生み出す出発点になるのです。
グループワークが組織の空気を変える—特性マネジメントの具体的な進め方
特性マネジメントの実践では、まず経営者へのヒアリングで組織課題を整理した後、部門ごとに10人程度のグループワークを実施します。「幼少期に夢中になったこと」を起点に、これまでの人生体験を心理学の視点から丁寧に掘り下げ、その人固有の特性を抽出していきます。このプロセスは、単に特性を「分類」するだけでなく、本人が自分の価値を実感する体験でもあります。
電話応対や雑務を担う部署に不満が蓄積していた商社での事例が、印象に残っています。分析の結果、そのチームには「状況の把握や情報管理が得意」という特性を持つ人材が多いことが判明しました。そこで顧客データベースの整備という業務を提案したところ、業務負担が軽減されただけでなく、「認められた」という実感がチームの意欲向上につながりました。成果が評価されると自信となり、働く姿勢にも良い変化が生まれるという体験が、私の確信をさらに深めてくれました。
グループワークには、チームビルディングとしての効果もあります。互いの特性を共有する中で、あの人がなぜそういう行動をとるのかが腑に落ちると、職場のコミュニケーションが劇的に変わります。「全員がオンリーワンの価値を持っている」という認識が生まれることで、違って当たり前という共通理解が組織に根付きます。トップダウンではなく、一体感を持って成果を生み出す組織への変革がそこから始まるのです。
導入後には「社員が自分から提案するようになった」「部署間の連携がスムーズになった」という声を多くいただいています。特性を「強み」として認識することで社員一人ひとりの自己肯定感が高まり、それが組織全体の活力へとつながります。成果を出すために必要なのは管理や統制ではなく、それぞれの個性が発揮できる環境を整えること。これが、私がコンサルティングを通じて常に伝えていることです。
起業家・後継者・経営者に伝えたい。「特性」を武器にした経営の本質
特性マネジメントは、既存組織の活性化にとどまりません。起業家や経営者向けには「らくらく塾」という起業塾も展開しており、現在、全国に約150人の塾生が在籍しています。「特性が示すその人ならではの価値と、これまでの経験で得た知恵や実感を掛け合わせることで、社会に求められる商品やサービスが形づくられていく」。これが私の信条であり、塾生たちが実際に体験していることです。
事業承継の場面でも、特性マネジメントは大きな力を発揮します。創業者と後継者の間では「自分のようにできない」「いつまでも認めてくれない」という摩擦が生じやすいですが、互いの特性を理解し合えば、その溝は確実に縮まります。特性を自覚することで主体性が芽生え、後継者が自分らしい経営スタイルを確立するための道筋が見えてきます。「魂は引き継いでも、形は変容してもいい」。そう伝えると、多くの後継者の表情が変わる瞬間を私は何度も見てきました。
会社名「オンリーワンコンサルティング」には、「唯一の価値をつくる」という想いが込められています。「人と違って当たり前」という意識が社会全体に浸透したとき、企業はもちろん社会全体がより良くなると信じています。組織の停滞や人材定着に悩む経営者の方、次の経営ステージに踏み出したい起業家の方は、ぜひ一度ご相談ください。私・杉田康宏は、有限会社オンリーワンコンサルティングとして愛知県を拠点に全国各地へ、特性マネジメントを軸とした経営コンサルティングを提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。



