母乳とミルク、どちらが正解?「育て方」より「育てやすさ」を考える食育の視点

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:口腔機能発育・筋機能療法

こんにちわ。
名古屋市港区にありますオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

赤ちゃんが生まれてまず向き合う大きなテーマの一つが、「母乳かミルクか」という授乳の選択です。
そしてそれは、単なる栄養の話にとどまらず、育児スタイル・家族の関わり・赤ちゃんの口腔機能発達にまで影響を与える重要な問題です。

まず、最初にお伝えしたいのが、どちらを選ぶかに「正解」はありません。
それぞれに異なる特徴とメリット・デメリットがあるからこそ、私たちは“どちらがより育てやすいか”を家族単位で考えることを大切にしています。

 

母乳育児には、赤ちゃんの免疫を助ける成分や、自然な咀嚼・嚥下の発達を促す役割が含まれています。
とくに、母乳を吸うという動作は、あごや舌、口周りの筋肉をしっかり使うため、将来的な歯並びや口腔機能の発達に良い影響を与えると考えられています。
また、母と子のスキンシップや情緒的な安定にもつながるなど、多くの利点があります。

一方で、母乳育児には身体的・精神的な負担が伴うことも事実です。
頻回の授乳、夜間の寝不足、乳房トラブル、そして母親だけに負担が集中してしまいやすい点は、育児ストレスや産後うつの一因になることもあります。

 

ミルク育児はどうでしょうか。
近年の粉ミルクは栄養バランスも大きく進化し、成長に必要な成分がしっかりと配合されています。
また、哺乳瓶の工夫によって、母乳に近い吸啜を促す商品も増えており、適切に使えば口腔機能発達への悪影響は最小限に抑えられます。

さらに、ミルク育児はパートナーや祖父母など、家族全員が育児に参加しやすくなるというメリットがあります。
夫婦が共に働いて、共に家事育児を分担する今の時代、「母親だけが頑張る育児」から「みんなで支える育児」へと考え方を転換するうえで、大きな意味を持ちます。

 

オリーブ歯科こども歯科クリニックとしては、医療的・発達的な視点からだけで言えば、母乳の意義は非常に高いと考えています。
ただし、それを“母親だけの責任”として押しつけることは、現代の子育てにおいて適切とは言えません。

私たちが大切にしているのは、「赤ちゃんがよく育つ環境を、家族全体でどう支えるか」という視点です。
育児の正解は一つではなく、家族全員の心と体に無理がないことこそが、赤ちゃんにとっても最良の選択につながると信じています。

 

授乳方法に悩んでいるご家族へ。
迷うことも、立ち止まることもあって当然です。
私たちは、歯科の立場からできるアドバイスを通じて、赤ちゃんの「育てやすさ」と、家族の「幸せのかたち」を一緒に考えていきます。

どうぞ気軽にご相談ください。
お口から始まる健やかな育ちを、私たちが支えていきます。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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