歯科医院が考える“食育”の本質
最近、お子さんの寝顔をじっくり眺めていますか?
お子さんがぐっすりと眠っている様子は、保護者にとって何よりも安心できる瞬間かもしれません。しかし、その“寝顔”が、実は健康状態や発育の大切なサインであることをご存じでしょうか。
たとえば、口を開けて寝ている、いびきをかく、寝汗がひどい、寝相が悪い、朝起きても疲れている――こうした様子が見られる場合、睡眠の質や呼吸の状態に問題がある可能性があります。それは単なる「寝相の悪さ」や「個性」ではなく、身体からのサインかもしれないのです。
実は、睡眠の質は子どもの発育にとても深く関係しています。
子どもの成長に欠かせない“成長ホルモン”は、夜間の深い眠りの中で最も多く分泌されます。ところが、口呼吸やいびきがあると、呼吸が浅くなり、睡眠が分断されてしまいます。すると、深い眠りが十分にとれず、結果的に成長ホルモンの分泌が減ってしまう恐れがあるのです。
実際に、当院に来院されるお子さんの中にも「身長の伸びが気になる」「落ち着きがない」「集中力が続かない」といったご相談をいただくケースが少なくありません。これらの背景には、睡眠の質の低下や、口腔機能の未発達が隠れていることがあります。
「うちの子は口が開いて寝る癖がある」とおっしゃる保護者の方は少なくありませんが、実はそれは癖ではなく、医学的には“異常呼吸”と呼ばれる状態です。鼻で呼吸すべきところを口で呼吸してしまっているため、ウイルスやアレルゲンが直接体に入りやすくなり、風邪をひきやすくなる、アレルギーが悪化するなどのリスクが高まります。
口呼吸は“癖”ではなく“異常”です。
さらに、口呼吸が長期化すると、舌の位置や筋肉の使い方にも悪影響が出てきます。結果として、歯並びの悪化、姿勢の崩れ、発音や咀嚼機能の低下など、子どもの全身の発育に広く関係してくるのです。
オリーブ歯科こども歯科クリニックでは、口腔機能の発達を支援するために、MFT(口腔筋機能療法)やマイオブレース治療など、専門的なトレーニングを取り入れた診療を行っています。
これらの治療は、ただ歯並びを整えるだけではなく、「正しい呼吸」「正しい舌の位置」「正しい嚥下」「正しい姿勢」といった、全身の健康を土台から見直すことを目的としています。
また、必要に応じて、耳鼻科・小児科・睡眠外来などの専門医療機関と連携しながら、原因の見極めと根本的な改善を目指しています。歯科の枠にとらわれず、「子どもたちの人生をよりよくするためにできること」を追求していくのが、私たちのスタンスです。
「たかが寝顔」と見過ごされがちなサインの中に、大切な気づきが隠れています。
お子さんの健康を守るために、今夜、そっと寝顔を見つめてみてください。
その一歩が、未来の笑顔につながります。



