私が歯科医院で“食育”に取り組む理由

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:当院の医院理念・治療方針

こんにちわ。
名古屋市港区にありますオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

私はこれまで歯科医師として日々診療にあたる中で、「噛めること」「飲み込めること」「きれいに並ぶ歯を育てること」の大切さは当然のように理解していたつもりでした。
ですが、今、私自身が一児の父として子育てに取り組む中で、これまでの理解がいかに“表面的なもの”だったかに気付かされています。

 

子どもと向き合う毎日のなかで、あらためて実感したのは、
【子どもの発育と食の関係が、想像以上に深く密接である】
ということです。

「噛む力が弱いから食べづらそう」
「柔らかいものばかり好むのは口の使い方が未発達だからかもしれない」
「食事中の姿勢が悪いと、集中力にも影響する」
そうした気付きの連続が、毎日の食卓から生まれてきました。

 

以前から当院では、患者様に対して食事内容や食べ方のアドバイスを行ってきました。
しかし、自らの子育てを通じてわかったのは、「子どもの食事指導は口腔育成の視点だけでは全然足りない」ということです。

実際の食卓では、食べる速さ、会話の量、姿勢、感情の起伏まで、すべてがその子の“発達の鏡”となって表れます。
そして何より、【家族で食卓を囲む時間そのものが、子どもの人格形成や親子の絆を育てる大切な場】であるという事実に、私は大きく心を動かされました。

 

こうした気づきは、近年の研究でも裏付けられています。
たとえば、よく噛んで食べる子どもは、脳の前頭前野の血流が活発になるため【集中力が高まりやすい】という報告があります。
また、咀嚼刺激によって神経系の成長が促進されることから、【睡眠や運動能力、情緒の安定にも好影響】があると考えられています。

 

つまり、口腔機能の育成とは単に「歯並びを良くする」「虫歯を予防する」といった目的にとどまらず、
【睡眠、発育、発音、運動、学習】といった子どもの総合的な発達の土台づくりそのものなのです。

その事実に気づいたからこそ、私はこれからも「歯医者の視点からできる食育」を、もっと多くのご家族に伝えていきたいと考えています。

 

現在、私自身も子育て真っ只中。
親として戸惑うこと、失敗することも多々あります。
でも、だからこそ、皆さんと同じ目線で、「ちょっと気になる」「どうしたらいいのかな」という日常の疑問に寄り添える歯科医でありたいと願っています。

食事は、子どもが日々自分の力で育っていくためのエネルギー。
それと同時に、親子の絆や家族の思い出を育てる時間でもあります。

ご家庭の中で、「食べ方が気になる」「飲み込みが苦手そう」「言葉がはっきりしない」といった小さな変化を感じたら、ぜひ気軽に声をかけてください。
私たちは、歯科からできる食育支援を通じて、お子さん一人ひとりの「よりよく育つ力」を応援していきます。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

保険診療から先進的な自由診療まで幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症の治療に県内外から多くの患者様が通院しております。

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