これだけは押さえたい!金利上昇時の資金調達で失敗しないコツ

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:銀行取引の仕方

近年の金利上昇により、企業の調達コストが増加しています。
短期資金の調達については、銀行から都度説明を受ける機会があるかもしれませんが、長期の証書借入金(変動金利)については「気づいたらこんなに上がっていた…!」というケースも少なくありません。

事業の採算管理を行ううえで、原価や人件費の比率だけでなく、調達コストも考慮し、サービスの売価を適正に見直すことが必要です。
また、単純に金利引き下げを銀行に依頼しても、「基準金利が上がったので…」と断られるケースも増えています。
では、どのように交渉すれば金利を下げてもらえるのでしょうか?

本記事では、金利上昇時代に企業が取るべき資金調達戦略と、具体的な金利引き下げ交渉の方法について解説します。





1. 銀行との交渉で金利を下げるためのポイント


金利交渉を成功させるためには、銀行にとってのメリットを示すことが重要です。単に「金利を下げてほしい」と頼むだけでは難しく、銀行が「この企業には良い条件で貸し出したい」と思うような対策を取る必要があります。

(1) 預金シェアを高め、実質金利を引き下げる
銀行にとって、企業が預金を多く持っていることは重要な要素です。
融資残高と預金残高のバランスを意識し、預金を増やすことで銀行との取引の安定性をアピールできます。
例えば、資金がある場合は、複数の金融機関に分散させず、メインバンクに集中させることで、融資条件の改善を引き出しやすくなります。

(2) 役務収益系の商品を活用し、銀行の収益に貢献する
銀行は融資だけでなく、手数料収入(役務収益)も重視しています。以下のような商品を活用することで、銀行側の収益に貢献し、金利交渉を有利に進めることができます。

  • 法人向けの投資信託や定期預金の活用
  • 企業向けの保険(生命保険・損害保険)への加入
  • 給与振込口座の集約や取引先の決済口座の設定



これらを銀行経由で申し込むことで、「取引の拡大」に繋がり、融資条件を改善しやすくなります。

(3) サブの金融機関に相談し、競争原理を活用する
金利交渉がうまく進まない場合、他の金融機関にも相談し、競争原理を働かせることも有効です。

例えば、メインバンクが金利を引き下げてくれない場合、信用金庫や信用組合、地方銀行に相談し、より有利な条件で借り換えが可能かを検討します。
「○○銀行ではこの条件だった」と他行の提示条件を交渉材料にすることで、現在の取引銀行の対応が変わる可能性があります。

(4) 返済期間や融資形態の見直しを行う
金利引き下げが難しい場合、返済期間や融資形態を変更することで、毎月の返済負担を軽減するという方法もあります。

  • 長期融資に組み替え、毎月の返済額を抑える
  • プロパー融資から信用保証協会付き融資に切り替え、金利の見直しを図る
  • 借入総額を整理し、一本化することで条件交渉を行う



これらの方法を検討することで、金利負担を減らすだけでなく、資金繰りの安定化にもつながります。

2. まとめ|調達コストを抑え、経営を安定させるために


金利が上昇している今、資金調達コストをしっかりと管理することが、企業の利益を守るために不可欠です。

  • 単純な金利交渉ではなく、銀行との取引全体を見直し、交渉材料を増やす
  • 預金シェアを高め、融資金利を下げる戦略を取る
  • 役務収益系の商品を活用し、銀行の収益に貢献する
  • サブの金融機関にも相談し、より良い条件を引き出す
  • 融資の形態や返済期間を見直し、支払い負担を軽減する



今後の金利動向に備え、早めに対策を講じることが重要です。
「自社の調達コストを見直したい」「金利交渉を成功させるための具体的なアプローチを知りたい」「自社の融資の組み方が適正なのか知りたい」
とお考えの経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください!

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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

信用金庫で20年にわたり融資業務や法人支援に従事し、支店長や本部法人開拓チームも経験。現在はCFOとして、中小企業の資金調達・財務改善・銀行交渉・経営戦略構築をトータルで支援しています。

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