銀行の「総合的判断により融資不可」の真意とは?本当の理由を探る5つの交渉項目
事業を成長させるためには、資金調達が欠かせません。
その一方で、「銀行融資は無限にできる」「銀行を変えればどこでも融資が受けられる」といった誤解を持つ経営者も少なくありません。
しかし、銀行は企業の財務状況を慎重に審査し、無制限に融資を行うわけではありません。
本記事では、企業にとっての借入の本質と、銀行との適切な関係の築き方について解説します。
1. 銀行融資の基本|信用保証協会からプロパー融資へ
企業が銀行融資を受ける際、多くのケースで信用保証協会を利用した借入からスタートします。
これは、銀行が直接リスクを負わず、信用保証協会が保証をすることで融資が受けやすくなる仕組みです。
しかし、企業の成長とともに、最終的には「プロパー融資(銀行が単独でリスクを負う融資)」に移行することが理想とされています。
(1) 信用保証協会付き融資
・創業間もない企業や財務基盤が弱い企業向け
・銀行の審査基準が比較的緩やか
・保証協会の審査が通れば借入しやすい
(2) プロパー融資
・ 企業の財務基盤が安定している場合に利用可能
・ 金利が低くなるケースが多い
・ 銀行との強い信頼関係が必要
プロパー融資を受けられるようになるには、銀行から「融資したくなる決算書」を作る必要があるのです。
2. 「銀行が融資したくなる決算書」を作るために
銀行が融資の可否を判断する際、単に売上の多寡だけではなく、企業の財務健全性を重視します。そのためには、決算書の「PL(損益計算書)」だけでなく、「BS(貸借対照表)」をしっかり理解し、時間をかけて自社の数字を育てていくことが重要です。
(1) 増収増益の実績を積み重ねる
銀行は、継続的に成長している企業を評価します。
短期的な売上の増減よりも、長期的に見て売上・利益が安定して増えているかがポイントです。
・短期的な利益だけでなく、持続的な成長を意識
・ 無理な節税よりも、適正な利益計上を優先
(2) 自己資本の充実
銀行は、自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本)を重視します。
自己資本が少ない企業は、返済能力が低いと判断され、融資が難しくなります。
・利益剰余金を積み上げ、自己資本を増やす
・ 過剰な借入は避け、適正な財務バランスを維持する
とはいえ、自己資本は長い業歴の中で積み上げていくものですから、予算と実績を説明することで信用を得る必要があります。
(3) BS(貸借対照表)の仕組みを理解する
「PL(損益計算書)」は1年間の業績を示しますが、「BS(貸借対照表)」は企業の財務体質を示すものです。
・ キャッシュフローの安定性(現金比率が高いか?)
・負債の適正化(過剰な短期借入はないか?)
・ 棚卸資産・売掛金の回転率(資金繰りに影響を与えないか?)
銀行は、BSの中身を見て「この企業は今後も安定した経営ができるか?」を判断するのです。
3. 借入を活かすために必要な考え方
企業にとって借入は「成長のための手段」であり、むやみに借りるものではありません。
適切に計画を立て、銀行との信頼関係を構築することが重要です。
(1) 事業計画・資金計画をしっかり立てる
銀行は、資金使途が明確であり、返済計画が現実的な企業に融資を行います。
そのため、借入の際には以下のポイントを押さえることが必要です。
・ 資金の使い道が明確か?(設備投資、運転資金など)
・ 返済計画が現実的か?(将来のキャッシュフローを考慮)
・銀行に理解してもらえるストーリーがあるか?
銀行から「この会社なら安心して融資できる」と思われることが、融資成功のカギです。
(2) 銀行との関係性を日頃から築く
「資金が必要になったときだけ銀行に相談する」姿勢では、銀行はリスクを感じて融資に慎重になります。
普段から銀行とのコミュニケーションを大切にし、定期的に財務状況を共有することが信頼構築につながります。
・ 定期的に試算表や事業計画を銀行に共有する
・ 担当者と定期的に面談し、経営状況を説明する
銀行との関係を強化することで、必要なときにスムーズに資金調達ができるようになります。
4. まとめ
企業にとっての借入は、無限にできるものではなく、財務状況や銀行との関係性によって大きく左右されるものです。
特にプロパー融資を受けるためには、時間をかけて財務体質を強化し、銀行が「融資したくなる決算書」を作ることが必要です。
・信用保証協会融資からプロパー融資へ移行できる企業を目指す
・ 長期的な増収増益と自己資本の充実を意識する
・PL(損益計算書)だけでなく、BS(貸借対照表)を理解し、財務の安定性を高める・ 事業計画をしっかり立て、銀行に納得してもらえる融資戦略を持つ
・ 銀行とは日頃から良好な関係を築き、信頼を獲得する
当社では、資金調達のサポートや銀行交渉の代行も行っております。
「どのように借入を活用すべきか」「銀行との関係をどう構築すればよいか」など、お悩みの方はぜひお気軽にご相談ください!