「無理なく楽しく継続できる」ボクシングを指導するトレーナー沖田英志

「無理なく楽しく継続できる」ボクシングを指導するトレーナー

沖田英志

いつでもマンツーマンに近いレッスンが可能

　愛知県の江南駅から徒歩15分ほどの場所にある「江南ボクシングジム」。中からはミットやサンドバッグをたたく鋭い音が響き渡り、健康維持やストレス解消などを目的におのおのが汗を流します。たくみなミットさばきで、会員のパンチを受けるのはボクシング歴約20年の沖田英志メイントレーナーです。これまで400人ほどを指導し「無理なく楽しく継続できる」ボクシングの普及に情熱を傾けてきました。

　ジムの基本方針は「ボクシングを通して非日常体験を提案し、普段の生活に刺激を与えること」。パンチを打つ、よけるといった、日常生活ではなかなか得られない感覚を気軽に味わってほしいと沖田さんは力を込めます。また「ボクシングは汗臭い」というイメージを拭い去ろうとジム内の清掃を徹底。水分補給がきるようウオーターサーバーを置いたり、ボディーソープやシャンプーといったアメニティー用品を無料で提供したり、サービス面の充実も図っています。

　さらに「いつでも存分にボクシングができるように」と年中無休で営業中。営業時間も平日は昼12時から夜22時までと長いため、多くのサラリーマンが会社帰りに立ち寄り練習に励みます。ジム内には常にトレーナーが数人在中し、どんなときでもマンツーマンに近いレッスンが受けられるのも強み。

「元プロボクサーやプロの総合格闘家など、経験豊富な人ばかりです。担当は曜日で変わるので、それこそ『日替わり定食』のように個性豊かな指導が展開されるのも、うちの魅力です」と沖田さんは話します。

小学生から60代、70代と幅広い層が通い精力的にトレーニング

　同ジムでは一般コースやシニアコースを用意。ウオーミングアップから最後のストレッチまでつきっきりの「パーソナルトレーニングコース」も設け、会員の要望に合わせたオーダーメイドの指導も手がける予定です。現在会員は100人ほど。小学1年生の男の子から70代の女性まで幅広く、特に多いのが30〜50代の男性です。

　「会員のみなさんはとても精力的。代謝が高いせいなのか実年齢よりも若々しく見えます」と沖田さん。「僕が知る限りでも60歳以上が4人在籍しています。ロープワークもミット打ちもこなします。こちらが驚くような鋭いパンチを繰り出す方もいらっしゃいますよ」

　常に体調不良を訴えていた40代後半の男性は入会後、毎月の通院がなくなりました。人と対面するのが苦手だった高校生の男の子は、ボクシングを始めると顔つきや体つきが変わり前向きに。いつも母親に連れられていたのが最近では一人で訪れ、鏡の前で自らファイティングポーズをとるようになりました。沖田さんは「お母さまいわく、よく自分の意見を話すようになったそう。ここでがんばったことが自信につながったのでしょう。トレーナー冥利に尽きますね」と声が弾みます。

　沖田さんがボクシングに興味を持ったきっかけは、何気なく図書館で手に取った漫画「あしたのジョー（講談社漫画文庫）」。そして中学生当時、夢中になって観たテレビ番組「ガチンコ！（TBS系列）」の1コーナー「ファイトクラブ」から。運動神経は中の下でしたが、苦難に立ち向かう男たちの姿に憧れました。

相手を重んじる指導を徹底「頭ごなしに否定されたら誰だって嫌」

　沖田さんは高校卒業後、鹿児島から大阪に移りボクシングジムに入会。本格的にプロの道を歩み始めます。減量に苦しみながらもジムトレーナーの「絶対チャンプになれる。日本一の練習をしているから」との言葉を胸にリングへ上がり、全日本社会人選手権ではフライ級2位、全日本新人王決定戦では王者に輝きました。

　「ボクシングは『拳二つ』で相手と向き合うシンプルなスポーツ。だからこそ奥深い。いまでも新たな発見がある」。現役時代に知ったボクシングの楽しみを、多くの人に伝えたいといいます。

　トレーナーを務めるうえで心がけているのが、決して相手を否定しないこと。「ジムによっては『指導が絶対』という場合もありますが、うちは会員さんのやりたいことを尊重しています。良かれと思ってやっていることを頭ごなしに否定されたら、誰だって嫌じゃないですか」。ただしフォームによってはけがのリスクが高まるため、脇を絞る基本動作のメリットを説明したり、グローブを大きくして手首の負担を減らしたりと、細やかな気配りを忘れません。

　同ジムでは「密」を避けるために営業時間を拡大。空気清浄機やカメラ式の非接触検温計、アルコールスプレー、サーキュレーターなどを設置し、ウイルス感染の予防に努めています。「こんな時代だからこそ体をしっかりと動かし免疫を高め、健康の大切さを再確認してほしいですね」
キュッキュッとシューズを鳴らし、小気味よい音でサンドバッグを打つ。そんな時間を体感してみませんか。　

（取材年月：2021年7月）

目指すは無理なく楽しいボクシング。「非日常の時間」を味わってほしい

いつでもマンツーマンに近いレッスンが可能

小学生から60代、70代と幅広い層が通い精力的にトレーニング

相手を重んじる指導を徹底「頭ごなしに否定されたら誰だって嫌」

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