シニアライフカウンセラーの役割 ―家族と地域を支える“身近な相談役”―

横内秀一

横内秀一

テーマ:総合

1. 数字でわかる「いま」:全国と山梨







日本では、65歳以上が29.4%(約3,619万人)。いまや「3人に1人が高齢者」に近い時代です(2025年9月時点、総務省統計トピックスNo.146)。


山梨県は全国よりさらに先行しています。高齢化率は31.6%(2024年4月1日)。県内では「3.2人に1人が65歳以上」という状況です
(山梨県「令和6年度 高齢者福祉基礎調査」)。


暮らし方の面でも変化が進んでいます。全国では一人暮らしの高齢者が増えており、2020年時点で男性15.0%・女性22.1%、将来は男性26.1%・女性29.3%になる見通しです(内閣府「高齢社会白書」)。


山梨県でも在宅ひとり暮らし高齢者の割合は25.6%
(男性19.9%・女性30.1%、2024年)、4人に1人は一人暮らしと整理されています
(同「高齢者福祉基礎調査」)。


あわせて、高齢者夫婦だけの世帯は46,444世帯(県総世帯の12.4%、2024年)。夫婦だけ・ひとりだけの暮らしが確実に増えています。


つまり「親が遠方でひとり」「夫婦だけで心配」というケースが、私たちのすぐそばで増えています。


行政サービスだけでは届かない“すき間”






行政の支援はとても大切ですが、制度にはカバーできる範囲が決まっています。代表的な例を3つ、わかりやすく挙げます。

① 買い物やちょっとした家事のサポート



行政の介護保険サービスには「生活援助(訪問介護)」がありますが、利用できる内容や回数には制限があります。

たとえば「重たい荷物を一緒に持ってほしい」「好きな食品を選んで買いたい」といった細かな要望までは対応が難しいことが多いのです。

さらにルール上、

・嗜好品やアルコール類、ギャンブル関連などは購入できない
・家全体の大掃除や庭の草むしり、窓ふきなど“日常生活に直接必要でない作業”は対象外とされています
(厚労省通知「老振発1224第1号」、介護保険最新情報Vol.959)。

制度は「本人の生活を支える最小限」が基本であり、細かな困りごとや個別の希望まではカバーできません。


② 判断能力が低下したあとのお金や契約の手続き(成年後見制度のしくみ)


銀行の解約や不動産の売却などの大切な契約行為は、行政が代わりにやってくれるものではありません。

判断能力が低下した場合には、家庭裁判所の審判を経て選任された後見人に包括的代理権が与えられて、はじめて実施できます(民法第859条)。

また、判断力が一部残っている場合には「保佐」「補助」という制度があり、同じく家庭裁判所の審判で認められた特定の行為についてのみ同意権や代理権を持つことができます(民法第13条・876条の9)。

つまり、お金や財産に関わる重要な手続きは、法律に基づいた仕組みの中で裁判所の関与を受けて行うものであり、「行政にお願いすればやってくれる」という性質のものではありません。


③ 相談が複雑で窓口が分かれてしまう


高齢期の悩みは「介護」「医療」「相続」「住まい」など複数の分野にまたがります。

しかし行政の窓口は分野ごとに分かれており、「介護は福祉課」「税金は税務課」「医療は保健課」「住まいは住宅課」と複雑になりがちです。

包括的な相談窓口として地域包括支援センター(介護保険法第115条の46)が設けられていますが、役割は「介護・医療・福祉サービスの総合相談」に限定
されており、税や相続、不動産の調整まで幅広く扱えるわけではありません。

制度上どうしても「縦割り」になりやすいため、生活全体を横断的に整理し、専門機関をつなぐ身近な専門家の存在が欠かせないのです。


3. シニアライフカウンセラーが果たす役割






こうした「すき間」を埋めるのが、シニアライフカウンセラーです。

ワンストップ相談:介護・医療・税金・住まいなどを整理し、必要に応じて専門機関につなぐ
話しやすい存在:初対面では言いづらいことも、身近な存在だと安心して話せる
暮らしの伴走:通院付き添いや見守りの仕組みづくりなど、制度に乗らない“ちょっとした困りごと”にも対応
早めの気づき:生活変化をキャッチして、予防や制度利用につなげる

シニアライフカウンセラーは、まさに「家族と地域の安心をつなぐ人」
なのです。

4. あなたも“支え手”になれる







親のこと、身近な人、自分のこれからを考え始める時期は、「今」です
高齢者サポートに必要な知識を学べる、シニアライフカウンセラーや身元保証実務士の資格を取得し、身近な人の支えに専門的な知識を活かしませんか?

資格取得すると

家族の将来に備える知識が身につく
仕事や地域活動で役立つ力になる
同じ悩みを持つ人の相談役になれる

資格を取得し、一緒にさぽーとしてくれる仲間を募集しています。
身近な人の支えに、あなたの力を!


詳しくはマイベストプロ山梨のイベントページでご確認ください。

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横内秀一
専門家

横内秀一(相続・終活アドバイザー)

シニアライフ相談サロンめーぷる富士吉田店

28年間の農協勤務で培った金融・相続・保険などの知見を元に、シニアの日常の困りごとから相続・終活についての相談をまとめて受け止め、自ら手を差し伸べるほか、支援機関や専門家につなぐ活動。

横内秀一プロは山梨日日新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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