遺言書は『いざという時に書けばいい』というのは間違いです!
エンディングノートのススメ②
急な入院…「家族の口座からお金を下ろす」はできる?
エンディングノートで“意思”を見える形に
想像してみてください
ある日、大切なご家族が倒れ、救急車で運ばれました。
命は助かりましたが、意識はまだ戻っていません。
命が助かって良かった。さて、今後の治療費をどうしよう?
とりあえず、その人の銀行口座からお金を引き出せば――そう考えて銀行へ向かいました。
窓口の担当者は、事情を丁寧に聞いてくれました。
「それは大変でしたね」と、同情の言葉もかけてくれます。
でも、肝心の“お金を出してもらえるか”というと――
答えは「できません」
無権代理行は原則認められない

たとえ家族でも、出金はできないのが原則
本人が意識を失っている場合でも、家族が代わりにお金を下ろすことは基本的にできません。
銀行では、本人の確認が取れないと、勝手にお金を動かす「無権代理行為」になってしまうため、止められてしまいます。
実際には、「成年後見人制度を使ってください」と言われて、そこで終わってしまうケースが多いのです。
不測の事態の対応が可能に
でも、2022年に新しい考え方が示されました
全国銀行協会(全銀協)は、2022年に
「不測の事態(急病や事故など)で本人の意思が確認できないときの対応について」
というガイドラインを出しました。
そこでは、
「本人のために必要な支払い(医療費や介護費など)で、状況が確認できれば、例外的に対応を考える」
という柔軟な方針が示されています。
ただし、対応にはいくつかの条件があります。
ガイドラインに沿った対応のために必要なこと
・銀行が“特別に”お金を出すと判断するためには、次のようなことを確認する必要があります。
・医師の診断書などで、本人が意思表示できない状態であることが分かる
・お金の使い道が、本人の医療費や介護費用など、はっきりしていること
・金額や回数に限度を設けること
・お金は本人の口座から、直接病院などに支払う形を取ること
そして、最も大事なのが「本人の意思があったことを確認できること」です。
銀行からは、
「あとから“そんなつもりじゃなかった”と本人が言い出すとトラブルになる。だから、最初から本人の意思が分かるようにしてほしい」
という説明もされています。
エンディングノートの活用
ここで、エンディングノートの出番です
たとえば、エンディングノートにこんなふうに書かれていたらどうでしょう?
「万が一、意識がない状態になったときは、家族が困らないように、私の口座から医療費を支払ってください。」
このように書いておけば、「本人の意思があった」として、銀行が対応しやすくなる可能性があります。
エンディングノートに思いを残す
このようにエンディングノートに思いを残すことで、不測の事態にも対応が可能になります。
“死後のことを書くもの”と思われがちですが、
本当は「生きている間に、あなたの意思を伝えるためのノート」でもあります。
まさに、不安を安心変える魔法のツールですね!!
ただし、覚えておいてください。
全銀協のガイドラインは、あくまでも目安(指針)であり、法律ではありません。
銀行によって対応が異なりますし、あくまで“例外的な対応”です。
いざという時に慌てないように、
ご家族で話し合いながら、エンディングノートに「あなたの意思」を書き残しておきましょう。
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