障害年金を専門に、受給につなげるプロ
髙橋和彦
Mybestpro Interview
障害年金を専門に、受給につなげるプロ
髙橋和彦
#chapter1
「年金」と聞くと、65歳から受け取る老齢年金のイメージが強いのではないでしょうか。20歳~64歳の現役世代でも、病気やケガにより障害が残り、日常生活や仕事などが困難になった場合に受け取ることができる公的年金が「障害年金」です。
「髙橋社会保険労務士事務所」代表の髙橋和彦さんは、開業以来10年にわたり、障害年金を専門に扱っています。「障害を抱える人のための年金制度があることはあまり知られていません。受給手続きは自力で行うこともできますが、要件を満たすかなど、専門的な知識が求められることも多いです」と髙橋さん。
受給の原則的な要件は3つあります。①障害の原因となった傷病の初診日に国民年金または厚生年金保険に加入している(20歳前と60歳以上でも例外あり)②保険料を一定期間納めている③障害の状態が、初診日から1年6カ月経過した時点で、障害等級に該当することです。傷病名でなく、障害の程度により判定されるため、うつ病などの精神疾患、糖尿病、脳梗塞、がんなど幅広い傷病が対象となります。
髙橋さんのもとでは、年間70件~100件の申請手続きを代行。受給、更新、障害等級の変更、受給停止の再開を求める請求のほか、不支給などに対する不服申し立てを行います。医療機関への診断書の依頼や必要書類の作成など、あらゆる作業を引き受けます。
初診日が特定できないなど、請求が難しいケースにも対応。「治療歴は一人一人異なり、複数の病院にかかっていることもあります。例えば、何年も前に受診し、病院にカルテが残っていない場合でも手立てはあります」と話します。
#chapter2
髙橋さんは会社勤めをしながら、「働く人の力になりたい」と社会保険労務士を目指していました。あるとき業務中の事故で両ひざのじん帯を切断し、半年間歩くことも立つこともできない状態に。労災認定の際に知ったのが障害年金制度でした。
労災をきっかけに、障害年金に特化した事務所を設立。当時、社労士が扱うのは企業の労務管理が一般的で、障害年金専門の事務所は珍しかったそうです。
初めての相談は、ある難病での受給請求でした。聞いたこともない傷病名に戸惑う髙橋さんに、相談者が「プロに頼みたくて」と一言。「多くの相談が『手を尽くしたが不支給になったので、何とかしてほしい』というものです。そこで難しいからとあきらめるのは、プロではありません。望みを託してくれた方の期待に応えるため、『必ずやり遂げる』という信念をもって対応します」と髙橋さん。一度の請求での受給を目指し、病歴や日常生活への影響を丁寧にヒアリングします。
ある60代の人の相談は、小学生の頃から抱える下肢の障害で障害年金を受給したいが何から始めたらいいか分からない、というもの。当時手術した病院は不明、通院歴もなく、初診日と障害等級の証明が難しい状況でした。手術のため留年した小学校から卒業証明書を取り寄せ、初診時期を推定。障害等級の証拠として、手術跡が分かるレントゲン写真と、当時の近隣住民から証言を得て「第三者証明」を用意し、受給が認められました。
「私自身も障害厚生年金3級を受給しており、相談者と同じ立場にいます。制度のありがたみが分かるだけに、何としても受給につなげたいという気持ちは強いです」
#chapter3
最近増えているのは、中高年のひきこもりの子の将来を案じる、高齢の親からの相談です。「生来の発達障害など精神疾患による受給が認められる場合もあります。ただ、本人や家族が障害だとは思わず、受診機会もなかったことも多く、配慮しながら提案しています」。あわせて、福祉サービスを受けながら働く「福祉的就労」を提案するなど、地域の福祉とも連携し、自立をサポートしています。
また、地域の医療機関や障害者の支援施設などに働きかけ、制度の周知活動も行っています。高齢になってから初めて知ったという人も多く、認知度はまだ低いと感じているそう。
一方で、フリーダイヤルで相談に応じる「障害年金支援ネットワーク」の活動や、東日本大震災などの被災地での災害ボランティアにも力を入れています。「被災者は災害により日常生活を奪われます。障害によって不自由な生活を余儀なくされている方とつながるものを感じ、支援を続けています」
障害年金は、これまで納めた保険料で成り立っています。要件に当てはまるなら、請求するのは当然の権利です。「仕事や生活に支障をきたすほどの障害を抱えた方々にとって、定期的に受け取れる年金は、生活を維持するだけでなく、気持ちが前向きになる支えにもなります」と髙橋さん。「障害年金を必要とする人がいる限り、一人でも多くの人に届けたい」と力を込めます。
自身の経験も生かし、強い使命感を持って取り組む姿は、請求に悩む多くの人に勇気を与えてくれるでしょう。
(取材年月:2021年5月)
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障害年金を専門に、受給につなげるプロ
髙橋和彦プロ
特定社会保険労務士
髙橋社会保険労務士事務所
障害年金専門の社会保険労務士として、10年の実績。請求が難しい案件でも、豊富な経験をもとに、受給につなげる方法を探します。障害年金受給者としての視点を持ち、相談者に寄り添いながら支援。
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