怒りの感情をコントロール(アンガーマネジメント)するプロ
仲澤宏一
Mybestpro Interview
怒りの感情をコントロール(アンガーマネジメント)するプロ
仲澤宏一
#chapter1
日々の暮らしの中で、つい子どもに手を出したり、夫や妻にきつく当たったりしてしまったり、あるいは、車を運転中に激高し、大声を出してしまったり―。こうした体験はだれにもあるのではないでしょうか。
日本アンガーマネジメント協会に所属する山梨市の仲澤宏一さんは、「自身の感情と向き合い、怒りの連鎖を断ち切りましょう」と呼び掛け、イライラや怒りをコントロールするトレーニング法「アンガーマネジメント」の普及に努めています。ファシリテーター(促進者)の資格を取得し、山梨文化学園での講座をはじめ、学校、病院などでもセミナーを開いています。
聞きなれない言葉ですが、アンガーマネジメントは1970年代の米国で生まれた心理トレーニング法です。アンガー(怒り)をマネジメントする(上手に付き合う)ことを意味し、当初は軽犯罪者やドメスティックバイオレンス(DV)などに対する矯正プログラムとして利用されていました。現在では、円滑な人間関係や職場環境の改善、パフォーマンスの向上などが期待できるとして、広く浸透しつつあります。
#chapter2
アンガーマネジメントの講座では、怒りの感情を否定するのではなく、怒りを軽減させる「対症療法」をはじめ、怒りにくい思考、相手への上手な言い方や伝え方などを指導しています。最近、あおり運転にまつわる事件が取り沙汰されていますが、「行き場のない怒りを周囲に爆発させているだけ」と仲澤さんは説明。対症療法として「6秒ルール」を提案しています。「事件は6秒間の中で起こるといわれます。イラっとしたら、まずは深呼吸したり、他のことに集中したりして、とにかく6秒間をやり過ごします」
さらに、仲澤さんは怒りを感じたときに、日時や状況をごく簡単に紙に書き留めることを勧めます。これを1カ月、2カ月と続け、書きためた物を読み返してみると、「夕方になるといつもイライラしている」「特定のあの人のこういう言い方が気に入らない」といった、自身の怒りの傾向が見えてくるといいます。
「心の中で『ストップ』と言い、真っ白い画用紙をイメージするのも効果があります。頭の中でその紙をくしゃくしゃと丸めて、ごみ箱にポイっと捨て、ふたをパタンと閉めます」(仲澤さん)。また、「その場から逃げる」のもお薦めです。夫婦げんかでどうにも収まらなくなったら、トイレに行ったり、外に出て星を見たりしてみてください。電車内で化粧したり、物を食べていたりする人にイラっときたら、別の車両に移ってしまうのもいいでしょう。「その場から離れることは、ひきょうでも、負けることでもありません。アンガーマネジメントでは無理に我慢してイライラするより、サーっとその場から離れることを勧めています」
「身近な人であればあるほど、怒りをぶつけやすいもの」と仲澤さん。人はそれぞれ違う価値観で生活しています。時には相手に求める事をあきらめる気持ちも大切です。夜遊びして帰宅が遅い娘に、「遅いじゃないか」と怒鳴るのは逆効果。「『遅かったね。お父さんは心配で仕方なかったよ。次は連絡してくれると助かるよ』と穏やかな口調で、感情を抑えて語り掛けてみてください。ちょっとした言い方一つで、娘さんも素直に耳を傾けて反省し、無駄な言い争いも減ると思います」
#chapter3
アンガーマネジメントに呼吸法を取り入れているのも、仲澤さんのセミナーの特長です。「スマートフォンの普及で姿勢が悪くなり、一億総酸欠時代といわれている」(仲澤さん)現在、正しい呼吸法を身に付けることの大切さも伝えています。以前、ある学校で講演した時に、こんな光景に驚いたそうです。「生徒たちを立たせてみると、生徒の多くが、肩が胸より前に巻いてきてしまう『巻き肩』姿勢だったので、びっくりしました。巻き肩姿勢は現代人に多く見られ、この姿勢だと肺が圧迫され、脳に酸素が十分に行きわたらない恐れがあります。息をフーっと吐き切ったところで体を緩め、再び息を吸うことで、体中に新鮮な酸素が満ち、気持ちも冷静になります」
仲澤さんは、虐待された子どもたちが親になったとき、約7割が今度は自分の子どもに虐待するという負の連鎖に衝撃を受けたそうです。感情をコントロールできない大人にならないように、子どもの世代からアンガーマネジメントを広めていかなければいけないと訴えています。
「トレーニングを続ければ、必ず効果が表れます。自分の怒りに振り回されるのではなく、感情をコントロールして、人生の質を高めていきましょう」
(取材年月:2019年11月)
リンクをコピーしました
Profile
怒りの感情をコントロール(アンガーマネジメント)するプロ
仲澤宏一プロ
メンタル
オフィス仲澤
怒りの仕組みを学び、自分の怒りの傾向を知る~怒りに振り回されない心のコントロール法を習得できます。呼吸法や瞑想法も併せてお伝えします。アンガーマネジメントは、より良い人生の大切なツールです!
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ山梨に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または山梨日日新聞社が取材しています。[→審査基準]