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夏は涼しく冬は暖かい「GEOパワーシステム」の家を提案

地中熱利用「ゼロエネ住宅」のプロ

廣瀬敏

廣瀬敏 ひろせさとし
廣瀬敏 ひろせさとし

#chapter1

自然エネルギーの「地中熱」を利用し、体に優しく経済的

 マイホームづくりは、希望のデザインや間取りだけでなく機能性も重視したいもの。夏は少しでも涼しく、冬は暖かく、そして光熱費が少しでもおトクになる家ならうれしいですよね。

 「地中熱を利用した換気システムの住宅は、1年を通して室内の温度と湿度のバランスが保たれ、快適に過ごせますよ。自然エネルギーを利用しているので体に優しく、経済的な点も特長です」

 そう話すのは、「グリーンエネルギー利用技術研究会」代表で一級建築士の廣瀬敏さん。同会は県内の山の木が住宅になるまでの仕事に携わる業種12社で構成する家づくりグループで、設計事務所と工務店5社が中核となって、山口県の会社が開発した地中熱利用換気システム「GEO(ジオ)パワーシステム」の住宅を手掛けています。

 「地下5メートルに埋設する専用パイプから取り出す地中熱は、風穴や氷穴に入った時夏は汗がスーと引く涼しさを感じ、冬は暖かく感じた体験があると思いますが、地中熱は外気の影響を受けにくく、常に地域の平均気温15~17℃前後の一定温度で安定しています」

 「夏は35℃以上、冬は零下5℃位にもなる山梨の気候の中で、過ごし易い室内温度にするためにはエアコンで温度調節をしますが、GEOパワーシステムでは地中にある自然の温度の空気を室内に取り込むだけで、冷暖房は補助的に使うので省エネ効果は大きいものと言えます。家の中を一定温度の空気が循環するので冬のヒートショックの予防も期待できます。夏の暑さと冬の寒さが厳しい山梨に適した体に優しい住宅です。」

#chapter2

自治体からの補助や県産材使用のぬくもりある空間も魅力

 冷暖房を使う頻度が減れば、光熱費の削減やCO2削減にもつながります。また地中のパイプの中には、常に一定量の水が滞水する様に給排水するセンサーが働きます。この管内の水は取り込んだ空気から花粉やちりを吸着し、湿度も調節する機能があります。

 廣瀬さんらは「室内の心地良さを実際に体験してもらいたい」と、埼玉県越谷市にあるGEOパワーシステム体感館に希望者を案内するツアーも実施しています。

 住宅が国の補助事業の対象になっているのも魅力の一つです。
 「私どもグリーンエネルギー利用技術研究会は、国が木造住宅の生産体制を強化し環境負荷の低減を図る『地域型住宅グリーン化事業』の施工グループに認定されています。住宅は断熱・省エネ・創エネの三つの効果を持つZEH住宅(=Net Zero Energy House)に該当し、自治体から一定の補助が出ます」

 グループは、住宅に県産材を使うことにもこだわっています。
 「県土の多くを森林が占める山梨には品質の良い木が豊富にあります。県産材を家づくりに取り入れ、地産地消を図ることで、森林の適切な管理や、木を扱う職人の技術継承などにつながる利点があります」

 土台、柱、梁などの骨組みは、桧、杉などの県産材を使用し、特に強度が求められる大スパンの梁には米松や集成材を使い、内装材には調湿効果や木の香がリラックス効果を生む桧、杉を用いるなど、木の特性を生かしながら適材適所で活用します。ぬくもりのある空間も創出でき、建てた人から好評を得ているそうです。

廣瀬敏 ひろせさとし

#chapter3

確かな腕で活躍する地域の職人たちが施工

 グループの代表を務める廣瀬さんは、生まれ育った旧勝沼町(現甲州市)で設計事務所「趣輝工房」を運営。県産材を使った家づくりを提唱し、2000年に木の国サイト・県木材製品流通センター協同組合(南アルプス市)などとともに「やまなし森と住まいのネットワーク」を発足。県産材の普及啓発に取り組んできました。

 GEOパワーシステムにいち早く目をつけたのも廣瀬さんでした。2011年に戸建て住宅の設計を手掛ける際、太陽光発電を含め、自然エネルギーを利用した工法で何か良いものはないかと探していたときに同システムを知りました。越谷市の体感館でその快適性に引かれ、担当工務店と共にシステムの施工会員に登録。大月市の住宅に県内で初めてGEOパワーシステムを導入しました。

 2022年に仕事仲間の建築業者らに呼び掛け、グループを結成。国の補助事業に認定されました。中核の工務店5社について、「一人親方や小規模の会社ですが、確かな腕で活躍している職人さんばかりです」と信頼を寄せます。

 「お客さまの『良かった』『ありがとう』という言葉が何よりもうれしい」とやりがいを語る廣瀬さん。「お客さまのマイホームの夢を叶えるわけですから、その思いを最大限生かせるよう心掛けています。『デザインのためのデザイン』ではなく、住む人が暮らしやすい家を提案したいですね」

 今後は県内でGEOパワーシステムの認知度を上げ、「地中熱住宅にして良かった」と言ってくださるお客様の輪を広げることを目指しています。「全国にはこの工法を大変気に入ってくださっているお客さまが大勢います。県内でもマイホームづくりの選択肢の一つとして周知を勧め、ファンを増やしていきたいです」

(取材年月:2023年7月)

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廣瀬敏

地中熱利用「ゼロエネ住宅」のプロ

廣瀬敏プロ

建築設計・監理

グリーンエネルギー利用技術研究会

15~17℃の地中熱空気でいつでも快適。住宅や小規模施設向きの経済的な工法です。花粉やちり、ほこりの心配が少なく、消臭・調湿効果も。特許技術の住まいを登録工務店グループが責任を持って施工します。

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